国歌斉唱をする日本代表=諫山卓弥撮影 (c)朝日新聞社
国歌斉唱をする日本代表=諫山卓弥撮影 (c)朝日新聞社

 14日に開幕するサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会。注目はやはり試合の勝敗と選手たちが見せる華麗なプレーだろう。しかし、スポーツの国際大会で試合前や表彰式に流れる国歌に注目すると、意外な発見があるものだ。国際交流促進を目的に活動する「国歌の輪プロジェクト」代表の淺見良太さんがリポートする。

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■意外と起きるかけ間違い ウルグアイ国歌は2年連続

 国歌は国を象徴する歌だから間違えてはいけないものだが、しばしば国際試合で国歌の流し間違いが起こる。

 2016年、アメリカで開催されたサッカーの国際試合コパ・アメリカ、メキシコ対ウルグアイ戦の前の国歌斉唱で、ウルグアイ国歌を流すはずがチリ国歌が流れてしまうという事件があった。ピッチに並んでいたウルグアイの代表選手たちはすぐに間違いに気付き困惑の表情を見せたり無表情で前を向き続けたりし、ウルグアイサポーターがいるスタンドからは大きなブーイングが起こった。しかし途中で音が止まることはなく、そのままチリ国歌が流れ続け、その後もウルグアイ国歌が改めて流されることなく試合が行われてしまう。

 大会組織委員会はすぐに謝罪を表明したものの、試合は1-3でウルグアイが敗北。国歌のかけ間違いが原因ではないにしろ後味の悪いものになってしまった。

 しかしウルグアイの悲劇はここで終わらない。翌年、韓国で開催されたU-20W杯では日本対ウルグアイの試合前の国歌斉唱で、ウルグアイ国歌を流す所でまたしてもチリ国歌が流れてしまう。ウルグアイにとって悲劇でしかない。さすがにこの時は主催側がミスに気付き日本の国歌斉唱後、改めてウルグアイ国歌が流された。ちなみにW杯では今月15日にウルグアイがエジプトと対戦する。さて今年はどうなるのか……。

 このような悲劇に見舞われているのはウルグアイだけではない。リオデジャネイロ五輪での日本対ナイジェリア戦ではナイジェリア国歌ではなく、ニジェール国歌が流れて話題になった。

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ドイツは1番と2番を歌わない