噂の真偽を担当者に確かめてみると、「そんな噂があるんですか?」と大阪府日本万国博覧会記念公園事務所の担当者。「ツアー客の受け入れは6月以降となっているためそんなことはありません。個人でのキャンセルが重なったことが理由です」と否定した。

 対策も講じている。予約者へ事前にメールを送り、キャンセルの確認を実施。早めの事前キャンセルを促すようにした。4月のドタキャン率は15.8%だったが、メールを導入した5月11~13日の3日間は14.5%。14日までに301人のキャンセルがあった。「まだ効果のほどは見えづらいが、予約を忘れていたということは防げていると思う」と事務所の別の担当者は今後に期待する。

 26日からは期間限定で開館時間を拡大し、1日の入館可能者数が約500人増える。とはいえ、土日や夏休み期間の8月は予約で埋まっている。予約が取りづらいことに嘆く声も上がるが、「公開当初よりは予約が取りやすくなっています。4カ月前から予約を受け付けているので、ぜひ確認してほしい」と担当者。どうすれば狙った日に予約が取れるのか聞いてみると、

「日付が変わるたびに4カ月先の1日分の新規予約受付が表示されます。そのタイミングで予約サイトを見ていただくといいかもしれません。また、事前キャンセルが出るとその都度、予約サイトに反映される仕組みになっています。予約ができないと一度は諦めた日時でも事前キャンセルによっては予約可能になるケースもあるので、お手間はかかってしまいますが、こまめにサイトで確認していただきたいです」

 一方で、無断キャンセルを見越して当日券発行の要望もあるが、担当者は「現実的に難しい」と言い、こう続ける。

「太陽の塔は建築基準法で一度に入館できる人数が限られています。30分ごとに80人ずつと決まっているので、それ以上の人が来た場合に対応はできません。集合時間に来ない人がいても、遅刻している可能性もあるので、当日券に回すなどの判断がつきにくいのです」

 無断キャンセルが災いして思わぬところで耳目を集めた太陽の塔だが、目下は2025年に世界文化遺産登録を目指し、万博誘致への機運も高まる。岡本太郎氏が「体内をイメージした」という真っ赤な塔内は当時の面影を残しながらも、最新技術を駆使して幻想的な空間が広がる。「当時の状態を再現するのではなく、今の技術を加えることでより魅力を伝えたい」と担当者。芸術だけでなく人気も「爆発」している太陽の塔。2度目の誘致へつながるか。(AERAdot.編集部 福井しほ)

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福井しほ

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大阪生まれ、大阪育ち。

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