ちなみに、ヒックスはここまでカージナルスの中継ぎとして19試合に登板して2勝1敗、防御率2.29。まだ緩急の使い方を完全にマスターしていないこともあって奪三振率は低め(9イニング平均で3.66個)だが、被打率.179、GO/AO(フライアウト1個に対するゴロアウトの割合)1.67と、対戦相手を高確率で凡打に打ち取っている。順当に行けば将来的には大投手となること間違いなしの逸材だ。

 一方、バッティングに目を向けると、打球の平均速度ナンバーワンに君臨しているのは前述のガロ。24歳のメジャー4年目で、平均96.8マイル(約155.8キロ)の鋭い打球を飛ばしている。平均飛距離も前述のジャッジよりも上の233.8フィート(約71.3メートル)をマークしている。

 ただし、ガロは典型的な「ホームランか三振か」のスラッガーで、41ホーマーを放った昨季もリーグワースト2位の196三振。今季も13本塁打の一方で、すでに65三振とシーズン200三振に到達するペースで打率.207と、極端な成績になっている。

 打球スピードと飛距離の両立で言えば、メジャー3年目のヨアン・モンカダ(ホワイトソックス)もなかなかのもので、94.9マイル(約152.7キロ)と221.6フィート(約67.5メートル)を計時している。

 今回注目した選手たちはいずれもまだ若く、ヒックスは21歳、モンカダは22歳、ガロは24歳だ。7月で24歳となる大谷を含めて将来的な伸びしろがまだまだ期待できる若手ばかり。彼らの肩やバットから繰り出されるスピード溢れるボールの行方には、今後もぜひ注目してもらいたい。(文・杉山貴宏)