JR東海は2016年に引き続き芝浦工業大が1位となった。13年から17年の5年間で、JR東海は13人→11人→7人→20人→24人。鉄道会社に強く、JR東日本への就職者は35人→42人→40人→34人→31人。なかでも機械工、材料工、電気工の3学科からの就職者が多く、JR車両の最先端技術の開発を担っている。芝浦工業大の17年卒業生の就職者企業別ランキングは次のとおり。

 1.JR東日本31、2.JR東海24、3.本田技研工業22、4.積水ハウス12、竹中工務店 12、日本発条12、7.SUBARU11。

 全日本空輸、日本航空、JTBグループ、エイチ・アイ・エスの4社の就職者上位15校には青山学院大、上智大、明治大立教大、早稲田大、関西外国語大が入っている。全日空、日本航空はキャビンアテンダント職種で青山学院大、関西外国語大が強いからであろう。JTBグループは16年に2位だった立教大がトップに立った。

 立教大とJTBグループでは産学連携が盛んだ。その成果として、16~17年、訪日外国人旅行者向けに「日本の人気お土産ツアー 食品サンプル作りとおもしろ消しゴム工場見学」「キャラ弁当料理体験と築地場外市場でお買いもの」を共同で企画して、商品化させている。旅行業界と産学連携をすすめているのが観光学部である。同学部は社会学部観光学科から数えて50年以上の歴史を誇り、ホテル、運輸、旅行代理店などに多くの人材を送り出している。旅行会社には強いわけである。

 上智大は全日空3位、JTBグループ14位、日本航空8位、エイチ・アイ・エス6位となっている。卒業生は語学を生かして海外勤務が多い。そして、女子が強い。上智大卒業生の就職者企業別ランキングは次のとおり(カッコ内は女子)。

 1.全日空32(32)、2.みずほフィナンシャルグループ26(16)、3.三菱東京UFJ銀行20(16)、4.三井住友銀行18(9)、5.損害保険ジャパン日本興亜17(12)……。ほかに運輸、旅行では、日本航空14(13)、エイチ・アイ・エス12(10)、ANAエアポートサービス6(6)、JTBグローバルマーケティング&トラベル(JTBグループの一つ)4(3)。上智大は女子力によってブランド力を構築しているという見方もできる。

 各企業の就職者上位校からは大学の得意分野、特徴が見えてくる。こうした観点からの大学選びは、将来の夢、希望につながっていくだろう。

※芝浦工業大、上智大の就職者数は大学公表の資料から。三菱東京UFJ銀行は2018年に三菱UFJ銀行と改称

(文・小林哲夫教育ジャーナリスト)

【ランキングの見方】
 大学通信調べ。「マイナビ・日経 2018年卒大学生就職企業人気ランキング」(マイナビと日本経済新聞社の共同調査。有効回答4万2702人)に掲載された文系総合ランキング、理系総合ランキングそれぞれの上位企業(一部除く)への就職者を大学別に集計した。東京大、京都大などアンケートに回答していない大学は未掲載。