かつてチームメイトでもあったグリフィー(左)とイチロー(右)(写真・Getty images)
かつてチームメイトでもあったグリフィー(左)とイチロー(右)(写真・Getty images)

 異例の冷え込みを見せた今オフのストーブリーグのあおりを受ける形でなかなか去就が定まらず、ファンをやきもきさせたイチローのマリナーズ復帰が決まった。しかもメジャー契約で、年俸も出来高ボーナスを含めれば200万ドル(約2億1000万円)と報じられている。

 いくら実績は抜群とはいえ、ここ3年はマーリンズで控えだった44歳の外野手との契約としては好待遇で、代名詞でもある背番号51を再びイチローに用意したことからも、マリナーズの誠意がにじんだ古巣復帰と言っていいだろう。

 さて、入団会見では「最低でも50歳まで現役」を公言したイチローだが、今回のマリナーズ復帰は功労者への花道づくり、と見る向きもある。多くのチームを渡り歩いたベテランが古巣で最後のプレーを……、というのはサッカーなどでよくある話。契約にシビアなメジャーリーグでは1日契約のような特例を除けばあまり多くあることではないが、マリナーズにはケン・グリフィー・ジュニアという前例がある。

 1989年にマリナーズでメジャーデビューしたグリフィーは瞬く間にスター選手となり、3年連続の本塁打王、1997年のア・リーグMVP獲得などの活躍でファンを魅了した。そんなグリフィーも2000年2月にレッズへトレードで移籍。9年契約を結んだレッズでは故障に泣かされ続けてトータル210本塁打と失速し、契約最終年の2008年途中にホワイトソックスへトレードされるも復活はならなかったグリフィー。FAとなるも去就がなかなか決まらなかった39歳のベテランに、マリナーズは手を差し伸べたのだった。

 だが、グリフィーのマリナーズ復帰は大団円を迎えることができなかった。復帰1年目の2009年こそ19本塁打とまずまずの活躍を見せたものの、翌2010年は開幕から不振。しかも試合中の居眠りを報じられるなど、チーム内外でグリフィーを見る目は厳しくなっていった。最終的には6月に引退を表明。マリナーズの元英雄は会見すらすることなく、ひっそりとユニホームを脱いだのだった。

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イチローの引退はまだ先?