一方でサイドハーフはワイドな位置で起点を作るシーンとゴール前に飛び出すシーンをうまく使い分けているが、日本代表でハリルホジッチ監督が求めるような相手の裏を狙うプレーは基本的に求められておらず、そうした飛び出しがカウンター時のオプションに限られているところが大きな違いだ。

 基本コンセプトを考えればハリルホジッチ監督が本田をアウトサイドで起用するのは理想的ではないかもしれない。ただ、インサイドハーフや左サイドの選手にボールキープや起点のパスや素早いドリブルで持ち上がるより、飛び出して合わせる形が得意な選手、例えばドイツ1部のマインツで今季7得点を記録している武藤嘉紀を配置すれば右で起点を作り、左で仕留める基本的な関係を構築しやすい。

 ただ乾貴士、原口元気という継続的に呼ばれている主力候補がおり、中島もアピールしているポジションで、選ばれるかどうかは予想が難しい。やはり現在の日本代表のスタイルではインサイドから起点を作り、アクセントになりながらサイドの選手を生かしていく役割が適している。毎試合ではないにせよ、パチューカでインサイドのポジションを経験していることで、代表でも起用しやすくなったことは確かだろう。

 ただ、本田は行動範囲が広く守備の献身性も低くないものの、守備のデュエルでボールを奪うシーンは多くはなく、今野泰幸、井手口、山口蛍といったスペシャリストと同じ役割がこなせるわけではない。しかも攻撃で主体になる傾向が強いため、例えば典型的なチャンスメーカーである森岡亮太などとインサイドで併用するのはバランス上のリスクがある。本田をインサイドハーフに配置する場合は左の相棒との組み合わせを考えたい。アンカーを長谷部誠、左インサイドハーフを山口にすればバランスが取れるが、より攻撃的に行く場合は長澤和輝とのコンビも可能性がありそうだ。

 宇佐美はもともと左サイドのイメージが強いが、デュッセルドルフでは主に右サイドで結果を出している。右利きだが左右の足で自在にボールを扱うことができ、相手のディフェンスをかわすターンも左右の偏りが無いため、“逆足”の選手と遜色ないゴール方向への仕掛けができる。

 また前節のデュイスブルク戦のゴールで示した通りトップスピードでゴール前に走り込んでも狙い澄ました振り足の小さなシュートで、GKが対処しにくいタイミングとコースでゴールを狙える。左足で正確なシュートは打てるが右利きの久保裕也や裏へのスピードに優れる浅野ともタイプは違うが、右サイドからゴールを仕留める役割を担える選手であり、本質的にはチャンスメーカーである左サイドの乾やクラブの同僚である原口との左右の組み合わせの相性も良さそうだ。

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宇佐美にとって最高の組み合わせは…