ここまでリーグ戦で9得点を決めており、確実に枠を捉えるミドルシュートは現在の代表に最も足りていない武器の1つ。左右のコースに打ち分けるだけでなく、ループシュートでもゴールを決められるなどバリエーションが豊富だ。鋭いドリブルからのミドルシュートはJリーグ時代からの武器だが、ポルトガルではディフェンスの裏にタイミングよく抜け出してのペナルティエリア内のフィニッシュも増えている。

 その得点力に加えて6アシストを記録していることも見逃せない。相手の守備を引き付けて裏に通すスルーパスは絶品であり、ゴールを演出する役割も期待できる。ただ、できるだけ前を向いてボールを受けられることが条件になるため、ポストプレーの得意なFW大迫勇也などとセットで起用する必要があるのと、インサイドハーフやトップ下の選手とあまり重ならない方が特徴を発揮しやすいだろう。

 本田、宇佐美、中島。彼ら3人が揃って招集されるかどうかは分からないが、メンバー入りが実現すれば攻撃を活性化する存在になることは間違いない。その中でどういった布陣でマリ戦とウクライナ戦に臨み、そこにどう組み込んでいくのか。そこで得られた評価が本大会に向けたメンバー選考に直結するはずだ。(文・河治良幸)