66年ぶりの五輪連覇を狙う羽生結弦(写真・Getty images)
66年ぶりの五輪連覇を狙う羽生結弦(写真・Getty images)

 平昌五輪のフィギュアスケート・男子シングルで、日本のみならず世界で一番注目されているスケーターは羽生結弦だろう。66年ぶりとなるフィギュアスケート・男子シングルの五輪連覇をかけて平昌五輪に臨むソチ五輪王者にとって、平昌五輪はケガからの復帰戦となる。羽生はNHK杯(昨年11月)開幕前日の公式練習で、今季から取り入れた大技・4回転ルッツを跳んだ際に転倒し、右足首を痛めた。それ以降試合には出ず、治療と五輪の個人戦への準備に集中してきた。

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 普通に考えれば、ロシア杯以来およそ4カ月ぶりの実戦が平昌五輪本番となることには不安もある。ただし忘れてはならないことは、羽生は普通の選手ではないことだ。東日本大震災で練習拠点を失い、アイスショーに出演することで練習場所を見いだした羽生は、ソチ五輪で金メダリストとなってからも、さまざまな困難を乗り越えてきた。2014―15シーズンには、中国杯で他の選手と衝突し負傷するもGPファイナルで優勝。その後も尿膜管遺残症、右足首捻挫を乗り越え世界選手権で銀メダルを獲得している。さらに、2015―16シーズンは、右足甲を痛めた状態で臨んだ世界選手権で2位になった。

「たくさんの人々に自分のスケートを見てもらえるんだな、という気持ちでいっぱいです。それがプレッシャーという言葉にもなるのかもしれないですけれども、僕にとってはやっぱり久しぶりに試合で滑ることができるので、むしろその力を精いっぱい受け止めたい」

 ショートプログラムを3日後に控えた2月13日。本番で滑るリンクでの練習を終えた後、会見に臨んだ羽生は、重圧よりも試合に出られる喜びを感じている様子だった。練習で2種類の4回転(トゥループ・サルコウ)も跳んでおり、総合力で優れる羽生は2種類の4回転を確実に跳べば頂点に立つこともできるはずだ。課題があるとすればスタミナ面かもしれないが、ブライアン・オーサーコーチがメディアに語ったところによれば、スタミナに集中したトレーニングも積んできている。羽生は会見で「もうこれ以上ないことをしてきたので、何も不安要素はない」と言い切った。ディフェンディングチャンピオン・羽生の華麗な復活劇を期待したい。

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