「決められた制度だから」「選手の権利だから」と理解を示しはすれど、やはり毎年のように主力がいなくなり、しかもライバルチームのユニフォームを着て“反旗を翻す”という事態が続くことで、ファンの堪忍袋の緒は随分と擦り切れてきただろう。FA加入がわずか3人(中嶋聡、石井一久、木村昇吾)である点も、ファンの憂い、嘆き、ストレスに繋がっている。

 仮にFA制度がなければ、西武の黄金期は今も続いていただろうか。現役だけを見ても、現エースの菊池雄星に加え、涌井秀章、岸孝之、野上亮磨と続く強力先発陣の構築が可能になる。これにひと皮むけた山川穂高を擁する現在の強力打線が噛み合えば、王者ソフトバンクにも十分に立ち向かえる戦力になったはずだ。ただ、憂いてばかりでも仕方がない。今オフには松井が15年ぶりに古巣復帰。かつてFAで海を渡ったレジェンドの帰還は、ファンにとって何よりの“吉報”だ。ここから西武のFA史が変わるのか。チームの成績と同時に、選手にとっても魅力的に感じるチーム作り、球団運営を期待し、ファンの憂さを晴らしてもらいたい。