最期が近づいたときの主な症状
最期が近づいたときの主な症状

 悔いのない「看取り」にするためには、家族はどのような準備やケアが必要なのでしょうか。好評発売中の週刊朝日ムック「さいごまで自宅で診てくれるいいお医者さん」では、全国在宅療養支援診療所連絡会事務局長の太田秀樹医師に取材しました。「最期」に伴う対応のポイントを知っておきましょう。

*  *  *

 とくに病気とは言いにくい老衰や認知症などでは、全身の機能がゆっくりと低下して最期を迎えることが多いとされています。これに対して、病気を抱えて終末期を迎えた場合、少しずつ弱っていくものの、亡くなる数カ月から数週間前までは大きな変化がみられず、その後、急速に全身の機能が低下しがちです。がんではとくにその傾向が顕著とされています。

 このような場合、最期への準備不足で、悔いを残すことになりかねません。どのような状態から終末期を迎えたとしても、最期が近づいたときの主な症状を知っておき、最期への準備を進め、悔いのないケアをしてあげましょう。

 最期が近づくと、昼夜を問わず眠っている時間が長くなってきます。床に入ったまま不衛生にならないように、からだを拭いて(清拭(せいしき))、床ずれも確認します。

 意味不明の言葉や動作がみられる場合もありますが、何かの訴えというより、無意識の言動と考えられています。言動を気にかける必要はありませんが、きちんと見守るようにします。呼びかけても反応が鈍くなりがちですが、最期まで耳は聞こえているとされているので、折をみて声をかけ続けるのがよいでしょう。

 痰(たん)が絡むことが増えたり、手足が冷たくなったりもします。吸引を適切におこない、手足を温め、できるだけ楽になれるように環境を整えます。血圧は低いまま、尿量が減って濃くなり、呼吸が浅く、不規則になってきた……。これらの症状も最期と密接につながっています。

 なかでもいったん呼吸が止まってしまうのは、最期に一歩近づいたサインです。苦しそうなら胸をさすってあげましょう。

次のページ