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古賀茂明「米朝戦争のリスクとコストは日本へという米中密約説」

連載「政官財の罪と罰」

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著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

著者:古賀茂明(こが・しげあき)/1955年、長崎県生まれ。東京大学法学部卒業後、旧通産省(経済産業省)入省。国家公務員制度改革推進本部審議官、中小企業庁経営支援部長などを経て2011年退官、改革派官僚で「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。元報道ステーションコメンテーター。最新刊『日本中枢の狂謀』(講談社)、『国家の共謀』(角川新書)。「シナプス 古賀茂明サロン」主催

金正恩氏=労働新聞のホームページから (c)朝日新聞社

金正恩氏=労働新聞のホームページから (c)朝日新聞社

トランプ大統領=5日、ワシントン、ランハム裕子撮影 (c)朝日新聞社

トランプ大統領=5日、ワシントン、ランハム裕子撮影 (c)朝日新聞社

●日本のための戦争だと言いたいトランプ大統領

 ただし、このティラーソン発言からは、日本に負担させる理由は見えてこない。

 その観点で気になるトランプ氏の発言がある。

 これは、なぜか、トランプ大統領訪日直前になって、ワシントン発共同の記事として流された。時期から見て、トランプ政権が意図的に日本へのメッセージとして記事を書かせた可能性が高い。

 それによれば、北朝鮮が8月から9月にかけて日本列島上空を通過する弾道ミサイルを発射した際、日本が破壊措置をとらなかったことに対して、トランプ大統領が、東南アジア諸国の複数の首脳に「日本は迎撃するべきだった」「武士の国なのに理解できない」と語ったというのだ。

 この発言を聞いたとき、私が最初に思ったのは、トランプ大統領は、北朝鮮との開戦の引き金を安倍総理に引かせたいのだなということだ。

 北朝鮮のICBM(大陸間弾道ミサイル)などが日本の上空を通過する時の高度は、上空数百キロの高さになる。領空は高さ100キロまでというのが概ねの国際的理解(正確な定義はない。宇宙空間はどこの国にも領有権が認められていないので、その逆の解釈として宇宙空間よりも下が領空だということになる。宇宙は何キロぐらい以上かというのも決まっているわけではないが、概ね100キロ程度とされている)なので、これは領空侵犯にはならない。それにもかかわらず、日本が北朝鮮のミサイルを打ち落としたら、これは、日本の領空外で北朝鮮の飛行機を打ち落としたのと同じで、不当な武力攻撃となり、北朝鮮から、日本が戦争を仕掛けたと言われても仕方がない。
仮に北朝鮮が、自衛権の発動と称して、日本をミサイルなどで攻撃する動きを見せた場合、米国には、日米安保条約に基づき日本を守るという名目で北朝鮮を攻撃する口実が与えられる。

 これは、トランプ大統領にとって、六つの意味で非常に好都合である。

 第一に、「この戦争は米国が始めた戦争ではない。北朝鮮からの攻撃に対して、同盟国である日本を守るための戦争だ」と言えることだ。世界中で北朝鮮問題の解決のために軍事力を行使することに賛成しているのは、米国と日本だけだ。ドイツのメルケル、フランスのマクロンら欧州大国のリーダーはもちろん、韓国の文在寅大統領もこれには明確に反対している。米国が北朝鮮を攻撃すれば、当然国際的批判が集中するはずだが、それに対して、非常に有効な言い訳ができるわけだ。



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