一方、5月21日の阪神vsヤクルト(神宮)では、敬遠による満塁策が暴投で台無しになるトンデモハプニングが起きた。

 2点を追う阪神は7回、高山俊、上本博紀の連続内野安打で4対4の同点とした後、なおも2死二、三塁。この一打勝ち越しの場面で、打席に入ったのは、最も頼れる男、4番・福留孝介。

 一塁が空いているから、ここは敬遠が定石。当然ヤクルトベンチの指示も敬遠だった。ところが、ルーキの1ボールからの2球目は、投球前から立ち上がっていた捕手・中村悠平がジャンプ気味にグラブを差し出してやっと捕球するほど大きくそれ、一瞬ヒヤリ。
 
 この回途中、先発・星知弥をリリーフした直後に不運とも言うべき2本の内野安打で同点を許し、平常心を失っていたのかもしれない。こんなときは得てして肩に余計に力が入ってしまうもの。そして、不吉な予感は的中する。ルーキの3球目は、必死にジャンプする中村のはるか頭上を通過する大暴投。三塁走者・高山が勝ち越しのホームを踏んだ。

 結局、これが決勝点となり、阪神が5対4で勝った。労せずして貰った形のラッキーな決勝点に、金本知憲監督も「勝ち運があったのかな」と破顔一笑。

 一方、ヤクルト・伊藤智仁投手コーチは「(捕手を)座らせて投げさせたほうが良かったかも」と悔やんだが、あとの祭り……。

 メジャーでは、2017年シーズンから敬遠の申告制が導入されたが、B級ニュースファンは、「“4球のドラマ”があるからこそ、野球は面白い」と改めて実感したことだろう。

 5月25日の日本ハムvs西武(大宮)では、一度アウトになった打者が、ボークによる打ち直しを認められて、決勝タイムリーを放つ珍事が起きた。

 3点を追う西武は6回、秋山翔吾の右越え場外3ランで一気に追いついた後、源田壮亮も遊ゴロエラーで1死一塁と勝ち越しのチャンス。ここで3番・浅村栄斗は、谷元圭介の初球を鋭くとらえ、レフト上空へ大飛球を放った。

「行ったと思った。初球からいい感じで振れた」と本塁打を確信した浅村だったが、不運にもフェンス手前で風に戻されて左飛。“幻の一発”でチャンスは潰えたかに見えた。だが、この日の浅村はツイていた。

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あわや“ボークラン”の珍事