日本ハム・高梨裕稔 (c)朝日新聞社
日本ハム・高梨裕稔 (c)朝日新聞社

 2017年もさまざまな出来事があったプロ野球。華々しいニュースの陰でクスッと笑えるニュースもたくさんあった。「プロ野球B級ニュース事件簿」シリーズ(日刊スポーツ出版)の著者であるライターの久保田龍雄氏に2017年シーズンの“B級ニュース”を振り返ってもらった。今回は「ボーク&暴投編」である。

*  *  *

 2016年の新人王・高梨裕稔(日本ハム)は、2017年もシーズン初登板の4月4日のロッテ戦(ZOZOマリン)を6回途中1失点で白星スタート。先発に転向した前年6月8日の広島戦(札幌ドーム)以来9連勝と、快進撃は2年越しで続くかに見えた。

 ところが、2度目の登板となった4月11日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で、コケながら投げてボークを取られるという珍プレーを演じ、いっぺんにツキが落ちてしまうのだから、人間、先のことは本当にわからない。

 問題のシーンは、0対0の3回表。上林誠知の右越え三塁打と2四球で2死満塁のピンチを招き、4番・内川聖一を迎えた。

「ここが踏ん張りどころ」と気合を入れ直して初球を投げようとした高梨だったが、なんと、踏み出した左足のかかとが地面に引っかかり、大きくバランスを崩してしまった。

 前方に倒れ込みながらも、何とかボールを投げたものの、判定は「ボーク!」。三塁から上林が生還し、思わぬ形で先取点を許してしまった。

 高梨は投球動作の途中で明らかに静止していたので、ボールを投げようが投げまいがボークであることに変わりはない。だが、よりによって、満塁の場面でコケてしまったのは、不運としか言いようがない。

「ボークで失点するまでの、前の過程で何とかしなくてはいけなかったです」(高梨)

 5回にも内川に2点タイムリー二塁打を浴び、5回3失点で無念の降板。敗戦投手になり、先発転向後の連勝記録もついにストップした。このボークで歯車が狂ったのか、前半戦を3勝7敗と負け越したが、8月23日のオリックス戦(ほっともっと神戸)で約3カ月ぶりの白星を挙げてから4連勝と復調。7勝7敗でシーズンを終えた。

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久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

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