私はなるべく、「できない」という言葉で締めつけるより、自分で選んで行動させてあげたいと思っています。そこで、「してはいけない」と言うのではなく、「した方がいい」という言葉を使うよう心掛けています。


 
 たとえば、レストランでは「大声を出してはいけない」ではなく、「こういうオシャレな場所では小さな声で話す方がオシャレで素敵なんだよ」と言います。デパートの中では「走ってはいけない」ではなく、「ゆっくり歩く方がお兄さんっぽくてイケメンだよ」と伝えています。仮面ライダーにハマっているので、「かっこいい男」というフレーズが心に響くようです。最近は年少さんなのに色気づいてきて「○○ちゃんが好き」みたいなことを言ってきて、ますます「イケメン」「かっこいい」という言葉が強く効いてくるわけです。

 一時的なものかもしれませんが、最近は頻繁に「なんでなの?」と聞いてくるので、理由も併せて答えたり、または一緒に考えたりするようにしています。息子が納得すればいいので、答えはかなり適当に答えます。「なんで夜は暗いの?」と聞かれれば、「お日様も眠って休まないと疲れちゃうから」といった程度です。まあ、駐車場で突然手を離し、1人で走り出そうとするときなんかは単純に「やめろーーーーっ!!」と大声で叫んでしまいますが……。
 
 サンタさんはもちろん、まだまだ鬼や魔法使いを信じているようなお年頃。難解な宇宙の仕組み、「地球が自転して、夜は日本が太陽の反対側にいっちゃうから」というきちんとした理由は、もう少し大人になって、論理的にものごとを考えられるようになってからでいいかな、と思います。

 ただ、うちは両親ともに理系なので、もし息子が将来ド理系のロジカルモンスターになったら嫌だな、と。「お小遣いを上げられない理由」「歴史で原始人の名前を覚える理由」なんかを挙げて人の説明の矛盾点をついたり、論破したりしてくる子になったら非常にやっかいだな、などと考えてしまいます。思考の柔軟性はあれど、性格が堅苦しい子になる、
なんてことにはなりませんように……。

(文/杉山奈津子)

すぎやま・なつこ/1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など

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杉山奈津子

杉山奈津子(すぎやま・なつこ) 1982年、静岡県生まれ。東京大学薬学部卒業後、うつによりしばらく実家で休養。厚生労働省管轄医療財団勤務を経て、現在、講演・執筆など医療の啓発活動に努める。1児の母。著書に『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』『偏差値29でも東大に合格できた! 「捨てる」記憶術』『「うつ」と上手につきあう本 少しずつ、ゆっくりと元気になるヒント』など。ツイッターのアカウントは@suginat

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