日本代表・ハリルホジッチ監督(写真:Getty images)
日本代表・ハリルホジッチ監督(写真:Getty images)

 E-1選手権(旧東アジア選手権)のタイトルがかかった試合、それも日韓戦で1-4と大敗したことでメンタル面、戦術面、選手の起用法など色々な批判が飛びかっているが、やはりこれだけの惨敗だと、ひとつというより複合的な要因をはらんでいるだろう。韓国戦だけでなく北朝鮮戦、中国戦と合わせて3試合をトータルで振り返ることで見えるのは、8日間で3試合という過密日程にもかかわらず起用が特定の選手に偏っているのは非常に気になる点だ。

 韓国戦では幸先よく先制点を奪って引き気味になったことで攻勢をかけられ、その状況で失点してからどんどん悪い流れに飲まれてしまった。チーム全体としてのゲームコントロール、長身FWキム・シンウクをターゲットとした攻撃に対する不備、そもそも日韓戦への心構えが相手に負けていたなどさまざまな敗因がある。しかし、見過ごせない要素として選手の疲労がある。

 それが顕著に表れたのは3試合フル出場となった今野泰幸と小林悠だ。攻守の要を担った今野は前の2試合に比べてセカンドボールに対する出足が遅く、ボールを奪いに行くところも後手になっていた。小林も守備で前からボールを追う動きが鈍く、前半の半ばから後半にかけて簡単にボールを縦に出されてしまっていた。もちろん、全体のバランスが悪くなった影響もあるが、機動力が下がっていたのは確かだろう。

 今回の3試合には優勝を狙うこと、そしてW杯に向けた“国内組”のテストという目的があり、北朝鮮戦と中2日の中国戦でできるだけ多くのことを試し、2試合の評価から導き出されたベストメンバーを韓国にぶつけるというのが大きな流れとしては考えられた。Jリーグのシーズンが終了した直後の大会ということもあり、コンディションのキープがかなり難しい事情を考えると、23人をもっと活用していくプランがベターだった。

 北朝鮮戦から中国戦で7人の先発を替えた。韓国戦ではそこから3人を変更したが、そのひとりは中国戦前半で負傷退場した大島僚太に代わって入った井手口陽介であり、実質的にはGK中村航輔と車屋紳太郎だけが入れ替わった形だ。韓国戦の後半途中で井手口に代わり三竿健斗がA代表デビューを飾ったが、後半25分に川又堅碁、同36分に阿部浩之という終盤の交代は北朝鮮戦、中国戦と全く同じだった。

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選手の見極めも中途半端