トータルの出場時間を見ると起用の偏りは顕著だ。小林、今野、キャプテンを務めた昌子源の3人がフル出場で270分、次いで3試合とも先発の倉田秋が252分、2試合先発に加え中国戦で前半途中から出た井手口が216分、2試合フル出場の中村と車屋、三浦弦太、植田直通が180分、伊東純也が179分、土居聖真が172分で続く。

 その次が中国戦に先発した東口順昭、北朝鮮戦にフル出場したものの、中国戦と韓国戦で出番のなかった谷口彰悟と室屋成の90分、中国戦フル出場の山本脩斗も90分、同じく北朝鮮戦のみ出場の金崎夢生が71分で、高萩洋次郎が56分。3試合とも途中出場の川又は54分、中国戦で負傷した大島が30分、阿部が26分、そして韓国戦後半のみ出場の三竿が24分で、権田修一と初瀬亮は出番がなかった。

 こう見ると、最終的に何とか勝利したものの全体のパフォーマンスがかなり悪かった北朝鮮戦に先発した金崎、室屋、高萩、谷口が残りの2試合で使われずに終わったというのが注目点であり、途中出場ながら存在感を見せた川又と阿部がそのまま終盤のジョーカー的な扱いで終わってしまったことも、選手の見極めという観点から言えば限定的なものになってしまった。

 大会での優勝を狙う上で昌子、今野、小林の3人が外せなくなり、最終予選から招集されている倉田も清武弘嗣が離脱した状況で中心的役割を期待されたことが見て取れる。ヴァイッド・ハリルホジッチ監督は大会前、さらに大会中とけが人が続出する状況で、勝利とテストを両立させるためのマネジメントに苦戦し、3試合の選手起用を効率的にオーガナイズできなかったのではないか。

 韓国戦の惨敗は非常に残念だが、ロジカルに考えればE-1の意味付けが中途半端になってしまったことの方が問題だ。大目標は半年後のワールドカップに向け、フルメンバーに割って入れる候補をどれだけ発掘できるかということだった。その意味で韓国戦は、北朝鮮戦と中国戦を受けてよりバランスの取れた陣容を整えること、あるいは川又や阿部をスタメンで、植田を右サイドバックではなくセンターバックで使うといったバリエーションに富んだテストができていたら、仮に同じ結果であっても違った収穫を手にしていた。

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いつまでも引きずっても仕方がない…