いまでも、高校生が大学を選ぶ際に重視する項目の上位に「就職率の高さ」がある。ライセンスアカデミー・進路情報研究センターの調査によれば、「就職率の高さ」を「とても重視」が58%、「重視する」が34%と、9割以上が就職率を意識している。ちなみに、「偏差値」を「とても重視」は36%、「重視する」は46%で、それよりも高い(図1を参照)。

 高校生、そして保護者のこうした志向もあり、各大学では就職支援、キャリア支援に力を入れ、実就職率(卒業者数に占める内定者数の割合)などを高めようと、さまざまに取り組んでいる。

 各種の資格取得を支援したり、公務員試験に合格するための講座を設置したりしているほか、日常的に学生一人ひとりに接することで、学生それぞれの志望に応じた就職支援をするのが一般的になりつつある。

■平均的な学生の就職先を調べておきたい

「同時に、就職実績の中身も問われるようになっています。就職率だけでなく、『どの企業に就職したか』という実績です」(安田氏)

 その指標のひとつは上場企業への就職実績だろう。上場企業の多くは大都市に本社を置くため、地方の学生の就活にはお金がかかる。地方の大学の中には、東京、名古屋、大阪といった都市部へ就職活動に行く学生の負担を軽減するため、交通費や宿泊費を補助し、都市部への「就活支援バス」を運行するところもある。交通費や宿泊費を軽減できる大学の補助は、学生にとってありがたい存在といえよう。ひと言でいえば「個性的」で「手厚い」支援をしている大学が増えている。大学選び、学部選びにあたっては、オープンキャンパスなどの場を利用して、就職に関する情報をしっかり得ておくことが重要だ。

「優秀な学生が人気企業に就職するのは当たり前ですが、平均的な学力や能力の学生、つまりは、人数の多い、ボリュームゾーンの学生がどこに就職しているかの情報も、大学選びの大事な要素となります」(安田氏)

 その前に、自分の学びたい分野、将来就きたい仕事は何かを考えておくことが、大学選びで大切なことは言うまでもない。(アエラムック教育編集部・西島博之)