ライセンスアカデミー・進路情報研究センター「高校生の進学意識調査結果」から作成(調査時期は2016年4~7月)
ライセンスアカデミー・進路情報研究センター「高校生の進学意識調査結果」から作成(調査時期は2016年4~7月)

 学生有利の「売り手市場」が続く昨今の就職活動。だが、その活況がいつまで続くかはわからない。大学選び、学部選択の際に注目したいのが、その大学がどの程度就職活動のサポートをしているのか、卒業生はどんなところに就職しているのかという「就職力」だ。近い将来の就職活動で失敗しないために、大学選びの段階で気をつけたいポイントを、発売中のAERAムック「就職力で選ぶ大学2018」(朝日新聞出版刊)から紹介する。

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 本格的な受験シーズンまであとわずか。高校3年生なら志望する大学を最終的に決定する時期、高校2年生ならそろそろ本格的に受験勉強を始めるという人も多いだろう。高校を卒業して3年後、大学3年になったときに、思いをはせてほしい。夏休みには企業が実施するインターンシップが開催され、就職活動の真っただなかにいるのだ──。

 2018年春新卒者の就職市場は、学生優位の「売り手市場」といわれる。好業績に支えられ、企業の採用意欲が高まっているためと考えられている。ただ、この状況がずっと続く保証はない。景気には波がある。景気が悪くなれば、「就職氷河期」が到来する。大学を卒業しても正社員として働けるとは限らない。

 状況が変わるかもしれないひとつの節目が、20年に開催される東京オリンピック・パラリンピック後だといわれる。いまは、そのオリンピック・パラリンピックに向け、首都圏などを中心にマンションなどの建設需要が高く、好景気を支える要因のひとつになっている。だが、その後、景気は下降するのではないかと懸念されているのだ。

■「就職率の高さ」が大学選びで重視されている

 近年、学生の就職に力を入れる大学が増えている。その理由を大学通信ゼネラルマネージャーの安田賢治氏は次のように語る。

「08年のリーマン・ショック以降、文系学生の就職氷河期が来て、受験生が『就職実績がいい大学を選びたい』などと、就職への関心が高くなったのです」

 リーマン・ショックの日本経済への影響は深刻で、11~14年の求人倍率は1.2倍台にまで落ち込み、「就職難」の時代が続いた。

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「平均的な学生」の就職状況が大切