競り合う槙野(左)とベルギーのルカク(撮影・六川則夫)
競り合う槙野(左)とベルギーのルカク(撮影・六川則夫)

 ハリル・ジャパンの欧州遠征第2戦は11月14日、ブリュージュでベルギー代表と対戦し、後半27分にロメル・ルカクに決勝点を奪われ0ー1で敗れた。過去、日本は2002年日韓W杯や親善試合で4度対戦し、2勝2分けとベルギーには無敗を誇っていた。

 それは、親善試合ではベルギーも本気ではなかったかもしれないが、彼らのサッカースタイルにも一因がある。オーソドックスにパスをつないでサイドからクロスを入れるのが彼らの攻撃パターンだった。ブラジルや、かつてのオランダのように、ドリブル突破を仕掛けてくることはほとんどない。

 この日も日本がプレスをかければ、無理せず横パスやバックパスで攻撃を組み立て直していた。唯一の例外が得点シーンだった。ナセル・シャドリが左サイドからドリブルでペナルティーエリアに侵入を試みる。「1人が3~4人も突破してくるのは予想しなかった」とハリルホジッチ監督も驚いていたが、日本はシャドリへの対応が後手に回ったことと、シュートを予想したのか逆サイドのルカクをフリーにしたことで決勝点を許した。

 ブラジル戦でも明らかなように、日本はドリブルで抜かれたり、ボールをキープされたりすると、数的バランスが崩れてフリーの選手を作りやすい。さらにブラジルは攻撃に緩急の差があったが、ベルギーにはそうしたプレーが皆無に近い。だからこそ一方的に攻められることはなかった。

 それでも失点したので、その後の反撃を期待したものの、なかなか日本の攻撃はシフトアップせず、同じリズムでパスを回すばかり。ここら当たりの物足りなさは、日本の長年の課題でもある。

 そうした中で、あえて収穫を挙げるとすれば、今月の欧州遠征2試合と、10月の国内2試合で、槙野智章がCBとして使えるメドが立ったことではないだろうか。

 ハリルホジッチ監督の常として、代表メンバーを発表する際は、ポジションごとにレギュラー候補から氏名をあげる。これまで槙野は左SB長友佑都のバックアップとして名前を呼ばれることが多かった。ところが10月のニュージーランド戦とハイチ戦のメンバー発表では、吉田麻也の次に名前がコールされた。

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