「妊娠できない引け目というのは大きなストレスですが、それは夫に対してというよりも、義母に対する引け目の方が苦しい」というさやかさんのケース。

 夫は自分の母親に何か言われることは、子どものころから言われているので、それほど気にならないことです。「言わせとけ」というような感じで接する男性が多いのではないでしょうか。しかし、嫁である妻は違います。

 ポイントは、家族の線引きをどうするかです。自分たち夫婦と親夫婦が別の「心理的なグループ」になっているか確認してください。心理的グループというのは、目に見えないのでわかりにくいですが、家族で何かを決めるとき、例えば連休の予定を立てるとき、誰と誰の関係で物事が最終的に決まるのか考えてみてください。見た目や建前ではなく、「なんとなく感じる雰囲気」がポイントです。

 見た目は、夫婦で話し合って夫の実家に行くことに決めたかもしれませんが、なんとなく夫は妻である自分より、いろんな場面で夫の母親の気持ちを忖度しているなぁ、と感じることが多いなら、夫婦というグループより「夫とその母」というグループがあるのかもしれません(世間ではそういうグルーピングがあるとき夫のことをマザコンと呼ぶことが多いようです)。同じように夫の実家に行くにしても、妻が嫌なら行かないとか夫が一人で行くという選択肢がある場合や、別のテーマではそういう忖度を感じることは少ない、というのであれば、夫と母というグルーピングにはなっていません。

 物理的なグループは「夫の両親グループ」と「息子夫婦グループ」だけど、心理的なグループとしては、「夫の両親+夫」に妻が孤立とか、両親夫婦と自分たち夫婦というグループの他に、「夫と母」というサブグループがあったりすると、嫁姑問題のように夫婦と外部の葛藤というタイプの問題が解決困難になります。夫とその母親は話しやすい関係なのですから夫が前面に立って「自分たち夫婦のことは自分たちでやるから干渉しないで欲しい」とバリアを作って妻を守る必要がありますが、グルーピングがおかしいとそれができなくなります。

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