(イラスト/松元まり子)
(イラスト/松元まり子)

「やすらぎの郷」ほどドラマチックではないけれど、今日も全国の高齢者ホームで起きている日常生活のあんなことや、こんなこと。発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム 2018」では、そんなリアルなプチ事件簿をプロファイリング。とっても平和な高齢者ホームの24時間をリポートする。

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 関西の超高級高齢者ホームに暮らす80代のB子さんは、館内放送のチャイムが鳴ると、いつもおびえてしまう。続いて、入居者の訃報が流れることがあるからだ。

 いつ、何号室の、誰々さんが亡くなったと、簡潔に伝える放送。食堂などで聞いた場合、気まずい空気が流れないよう、平静を装って聞くようにしている。

「でも内心は『次はあなたかもしれません』と言われている気がして(笑)。とはいえ一緒に暮らしてきたお友達が旅立ったわけですから、アナウンスが何もないのも、それはそれでさみしい気もします」

 ホームのメンバーが亡くなった場合のほかの入居者への伝え方は、施設によって、大きく2パターンあるようだ。まずB子さんが入居するホームのように、館内の一斉放送でお知らせするパターン。ちなみにドラマ「やすらぎの郷」でも、「やすらぎアワー」と呼ばれる館内放送で、誰かの訃報が、故人の思い出の曲などとともにアナウンスされる場面が何度か出てくる。

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