東京慈恵会医科大の国領キャンパス。1年次は緑豊かな国領キャンパスで学ぶ。2年次から都心の西新橋キャンパスへ(撮影/写真部・大野洋介)
東京慈恵会医科大の国領キャンパス。1年次は緑豊かな国領キャンパスで学ぶ。2年次から都心の西新橋キャンパスへ(撮影/写真部・大野洋介)
20年間で難易度が上昇した主な大学
20年間で難易度が上昇した主な大学

 激化する医学部入試。学力の高い受験生が集中し、特に私立大の志願者数は2000年から17年連続で増え続けている。では、20年前と比べて、各大学の難易度はどう変わったのか。発売中の週刊朝日ムック『医学部に入る 2018』では、偏差値と学費、歴史の観点から分析している。その一部をお届けする。

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 1997年から2017年の20年間に難易度が上昇した主な大学をまとめた。

 私大は、学費値下げをした大学が目立つ。この表をみると、最も難易度が上昇しているのが、東京慈恵会医科大だ。同校は、国公立大の試験日と同じ日程だったため、東大などの旧帝大を志望する生徒は受験できない状況が続いた。

 しかし、06年から国公立大の入試日と違う日程でおこなうことにした。

「本学を第1志望とする優秀な学生に入学してほしいため、長年国公立大と同日程にしてきましたが、将来の大学の発展のため、多彩な人材を得ることを優先し、別日程にしました」(東京慈恵会医科大・宇都宮一典医学科長)

 また、山梨大、宮崎大、筑波大など、1970年代に当時の田中角栄政権が、「一県一医大構想」で創設した新設医大の上昇も目立つ。

 これは、受験生の地元志向の高まりや、医学部の入学定員が増加し、受験生にとって、選択肢が増えたことなどが理由として考えられるが、

「20年間で新設医大の認知度と社会的な評価が上がったことも理由です」(駿台教育研究所進学情報事業部・石原賢一部長)

 山梨大は一般入試が後期日程のみとなり、前期難関大の併願校として人気を集めていることも大きいだろう。

(文/庄村敦子)