ハリルを改めて評価する 日本をW杯に導いた“嫌われ者のリアリスト”  (1/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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ハリルを改めて評価する 日本をW杯に導いた“嫌われ者のリアリスト” 

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小宮良之dot.
W杯本大会出場を決めたハリルホジッチ監督(写真:Getty Images)

W杯本大会出場を決めたハリルホジッチ監督(写真:Getty Images)

 2010年から2014年までアルベルト・ザッケローニが率いた日本代表は、「ロマンの時代」を過ごしている。ボールゲームへのこだわりを極め、「左で崩し、右で仕留める」という攻撃を確立。主導を握ってアジアを制し、イタリアを苦しめ、広がる夢があった。しかし、肝心のブラジルワールドカップでは、そのロマンを打ち砕かれるように惨敗(1分け2敗でグループリーグ敗退)した。

 上積みであれ、転換であれ、変化が必要になった。

「引き分けも狙える」

 そういう勝負の駆け引きができる指揮官として新たに監督に就任したのが、ハビエル・アギーレであり、ヴァイッド・ハリルホジッチだったのである。

 では、ハリルホジッチは託されたミッションを果たせたのだろうか?

 正直、人気の高い監督ではない。

 ボスニア系フランス人指揮官は、慎重さを欠いた発言でさまざまに物議を醸してきた。それは一部メディアとの闘争にまで発展している。「Jリーグ軽視」「結果を出している選手を選出しない」「選手の名前を覚えられない」など批判要素は豊富にある。なにより、彼が選択している戦術は(体格的に劣り、ボールテクニックには優れる)日本人に合うか、という議論は燻る。

 ロマンを追ったザッケローニとハリルホジッチはプレーコンセプトが真逆。ザッケローニの戦略は主体的、アクションでボールを持つことに基本があったが、ハリルホジッチの戦略は受け身、リアクションでボールを持たせ、その隙を抉ることにある。サッカーは90分間で局面は入り混ざるモノだが、基本路線が異なる。

「リアリストの時代」

 ハリルホジッチは「ロマンの時代」を捨て、そこに向かっている。現実的な戦略デザインを決めた指揮官は、W杯出場という結果を出した。

 批判を受けながらも、ハリルホジッチは成果を上げている。昨年10月、11月のオーストラリア、サウジアラビア戦で戦術的に優位に立ち、着実に勝ち点を獲得。前線からの強烈なプレスとリトリートを併用し、鋭いカウンターを繰り出した。まさにリアリスティックな采配だった。今年8月のオーストラリア戦でも、敵のポゼッションを完全に標的にし、会心の勝利を収めている。


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