そこで注目したいのが、副交感神経を優位にさせるメラトニンというホルモン。こちらも加齢とともに分泌量は減るが、朝起きる時間を一定にし、朝日を浴びたり朝食を取ったりして体内時計をしっかり切り替えることで、分泌を促すことが可能だ。

 食事でもその分泌をサポートできる。メラトニンの材料となるトリプトファンは、肉や魚など動物性たんぱく質に多く含まれる。神経伝達を促すカルシウムやビタミンB群も、自律神経を整えてくれる。

「寝る前にスマホを見たり、あれこれ考え事をしたりすると交感神経を刺激するのでNG。寝る1~2間前に少しぬるめのお風呂で体を適度に温めると副交感神経が優位になりやすく、体が熱を逃がして入眠しやすくなります」

 香りでリラックスできるという人なら、アロマオイルをたいたり、ハーブティーを飲んだりするのも効果的。生活リズムを整え、バランスのとれた食事を心がける。こうした当たり前にも思える対策で、本当に眠りの質をあげられるのだろうか。松村医師はこうアドバイスする。

「自律神経は生活習慣に影響されやすく、本来のリズムに逆らった暮らしが体の不調につながっています。生活習慣を見直せば、多かれ少なかれ、効果は実感できるはずです」

(ライター・森田悦子)