一昨季に19位で2部降格するまで12シーズンにわたり1部で戦ってきたヘタフェ。その大半でシーズン終盤まで残留争いを強いられたが、09-10シーズンには“ヘタフェ旋風”を巻き起こして6位フィニッシュ。ヨーロッパリーグの出場権を獲得した。ただ、その“代償”として、ロベルト・ソルダードがバレンシアに、ペドロ・レオンがレアル・マドリードに移籍するなど主力が引き抜かれ、次のシーズンでは再び残留争いを経験して16位に終わった。

 選手側の観点に立てば、1部の強豪を相手に活躍できれば、すぐにでもステップアップできる環境にあるということだ。マドリード州のムニシピオ(基礎自治体)であるヘタフェは人口約18万人の小都市ながら、マドリードの中心部から車で30分ほどの場所にあり、電車でのアクセスも可能。アフリカ大陸に近いカナリア諸島のテネリフェと異なり、チームのアウェー移動もバスがメインになるだろう。

 本拠地のコリセウム・アルフォンソ・ペレス(スペイン代表で活躍した地元出身のストライカーから名付けられた)は収容人数2万人を満たないローカル感漂うスタジアム。近くに大きなショッピングモールがある。特に近郊のビッグクラブであるレアル・マドリードやアトレティコ・マドリードを迎える試合は盛り上がるが、1部昇格の新シーズンでボルテージはさらに高まると予想される。そのピッチに柴崎が立ち、確かな存在感を示すことができれば、さらなる未来につながることは間違いない。(文・河治良幸)