EDの症状が出て最初に悩まれるのは糖尿病の担当医に相談すべきか、泌尿器科に行くべきかでしょう。その簡単な目安としては、朝立ちがあるか、もしくはパートナーとはうまくいかなくても、一人では多少うまくいくのかということです。これらが問題なければ機能的には問題のない場合が多いので、糖尿病の担当医にED薬の処方を相談しましょう。いまのED薬は8~9割の確率で治療効果が期待できます。当院の男性糖尿病患者さんの約1割弱はED薬を利用されています。

 EDの患者さんは同時に前立腺肥大のケースも多いです。前立腺肥大症と診断され、処方された薬で性機能が改善する兆候があれば、すでにEDである可能性も高いでしょう。

 糖尿病における不眠やうつ症状については、卵が先か、鶏が先かのような話で、糖尿病だから眠れないのか、もともと不眠だから血糖値が高いのか、わからないケースも散見されます。糖尿病や高血圧といった生活習慣病のパラメーターは夜眠れないと悪くなりますし、心療内科的な疾患が悪くなっても血糖値は高くなります。肥満の人なら夜間無呼吸症候群で寝ているつもりでも眠れていないかもしれません。睡眠がしっかりとれるようになると、血糖値も落ち着いてくるケースが多いです。血糖値が高めで不眠やうつ症状があり、心配な人は専門医に相談しましょう。

<strong>たけおクリニック 総院長 竹尾浩紀(たけおひろき)医師
1996年防衛医科大学卒。自衛隊中央病院内科の研修医を経て、2008年に同病院内科医長。11年東京都世田谷区に「たけおクリニック」を開業。総院長。日本糖尿病学会指導医

(文/石川美香子)