堀江:僕は満員電車には人生で3回くらいしか乗ったことないです。学校の構内に住んでいたし、最初から職住近接でテレワークなので。今はロケットの会社が北海道にあるので、北海道民です。ごめんなさい、都民じゃなくなりました。

小池:あら、そうなんですか。

堀江:東京にいる時はホテル住まいです。僕がよく行くシンガポールや上海、バンコクはものすごい勢いで発展していますが、東京は正直ちょっと、勢いがない。そういったアジアの都市に対抗していくんですか?

小池:ええ。東京は十分、潜在能力を持っています。人、モノ、カネ、情報、全部集まっているのに、対外的な発信をじゅうぶんしていないんですよね。

堀江:していないですね。

小池:先日、東京都がニューヨーク・タイムズに広告を出しまして。(紙面のコピーを渡して)これね。パワーを日本、東京に取り戻す意味でWHY NOT TOKYO?というキャッチコピーを付けて、メディアや医療や学校など生活面の環境なども説明しました。

堀江:羽田空港なんて、ちょっと国際化しただけでものすごく旅客数が増えたじゃないですか。

小池:鳥の目になって考えれば、いまニューヨークに、ある種のトランプ景気みたいなものがある。一方でロンドンはEU離脱の影響で金融街シティーがどんな立ち位置になるか微妙。マクロン仏大統領は元金融マンで、おそらくパリがロンドンの座を奪うことを狙うでしょう。私は元々中東が専門で、70年代の中東の金融の中心はレバノンのベイルートだった。それがクウェートに移り、バーレーンに移り、今はドバイ、アブダビ。拠点は次々に変わるんですよ。

堀江:変えましょう! 渋谷のスクランブル交差点なんて、ニューヨークのタイムズ・スクエアに並ぶシンボリックな場所になる可能性は非常に高いと思います。外資系企業や東京から出ていった企業を誘致するとか、羽田の国際化をもっと推進するとか、それ以外にも施策はあると思うんですけど。

小池:居住環境を良くするのも結構大事なこと。高度人材という言葉はあまり良くないかもしれませんが、スキルの高い人たちに東京に来てもらおうとすると、子どもの教育をどうするかは意外と切実な話です。それから医療。「目の奥がズキズキする」だとか、英語でそう言われた時に対応できるか。

堀江:そうそう。英語が微妙なんですよね。

小池:そう。すべてのポイントは英語につながります。

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