小池:鉄道会社の利益を考えると、少ない本数で大量に乗客を詰め込んだほうが効率いいわけですよね。でも、この時代にそれだけではもうダメ。いかに快適なのかを提案することが大事。小田急線は多額を投じて複々線にした。

堀江:小田急線は昔から慢性的に混雑していましたね。でも複々線化や下北沢駅の地下化は僕は意味ないと思う。

小池:あ、そうなの。私は「心技体」と言っていて、「心」は意識を変える、「技」は技術面の支え、それから「体」は体制、つまり制度的にもバックアップしていくことが大事。「時差ビズ」ではフレックスタイムを会社でもっと導入する。クールビズの時と一緒です。

堀江:テレワークとか職住近接はどう考えますか?

小池:これも同様で、ワンセットで考えています。鉄道会社が駅の近くにシェアオフィスを構えて、通勤ラッシュの時間が過ぎたころに会社へ出勤するという構想がいくつか進んでいます。

堀江:都心に住ませるみたいな施策はありますか? 会社を経営していたころ、借り上げ社宅で家賃を半額補助していました。7万円まで補助するんですが、社員は14万円のマンションを借りたら7万円の負担で住めて、課税所得が下がる。税金対策にもなるし、社員は家賃の高い都心部でも会社の近くに住める。

小池:なるほど。企業の制度的なバックアップですね。実際にはみんな都心部に集まっていますよ。

堀江:空中権の売買や容積率の緩和という規制緩和が都心にマンションをつくる契機になっていると思う。これももっと推進される予定ですか?

小池:そうですね。ただ、子育て中の人たちには子どもさんを預ける場所を確保しなければいけない。建物の中に保育施設を設けることは、社会的な意義は大きいけれど、企業に貸した場合の賃料ほどは儲からない。そこで、保育施設のような施設を建物に入れることでプラスになる制度をつくるなど、いろいろな方法があります。まずは方向性を決めて、方法を考えたい。

堀江:結果を楽しみにしています。

小池:絶対あれでしょ、満員電車なんか乗りたくない派でしょ。

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