「弾道ミサイルが発射されまして、日本へ飛来する可能性がある場合はどうなるかと言いますと、まず、Jアラートを使って、都民の皆さんに直接音声などで情報が伝達されることになります。Jアラートからのメッセージが流れた際に屋外にいる場合は、できるだけ頑丈な建物や地下街に避難をしてください。そしてまた、屋内にいる場合は、できるだけ窓から離れていただきたいと思います。こうした行動について、具体的に都のホームページでもご覧いただけますので、是非ご活用いただいて、ご確認をしていただきたいと思います。東京都も首都でございます。人口も多うございます。そういったことで、東京都としては、こういう形で皆様方に喚起をさせていただくということでございます」(4月28日の定例会見より)

 東京都は首都で人口も多い。だから、どうするのかと思ったら、何のことはない、頑丈な建物や地下街に逃げ込めというだけ。安倍総理と全く同じではないか。

 首都で人口も多いと言う割には、「備えができていない」という危機感が感じられない。とりあえず、アリバイ作りでコメントしたというのがありありだ。
ミサイル問題を何かに使って煽ろうという意図は見えないから、その点は安倍総理よりはましにも思えるが、「無責任さ」においては同罪ではないか。

 備えがないなら、どのように備えるつもりなのか。
備えができるまでの間は、絶対に戦争を避けてくれと、都民を代表して安倍総理に直訴すべきではないのか。全市区町村に十分なシェルターを建設すべきではないのか。五輪・パラリンピックの時に北朝鮮に威嚇されたらどうするのか。サリンやVXガス対策はどうするのか。

 小池知事に聞いてみたいことはたくさんある。国会で、この問題について、徹底的に議論するだけでなく、夏の都議選でも、この点を大きな争点としてもらいたい。(文/古賀茂明

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古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

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