手術不可能な進行胃がん 抗がん剤の進化がもたらす希望 (2/2) 〈dot.〉|AERA dot. (アエラドット)

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手術不可能な進行胃がん 抗がん剤の進化がもたらす希望

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国立がん研究センター中央病院 消化管内科科長 朴成和医師

国立がん研究センター中央病院 消化管内科科長 朴成和医師

 さらに切除不能な患者の一部に対しては、分子標的薬のトラスツズマブを投与すると副作用もほとんどなく、がんの増殖・進展を抑えることもできる。

 これらの一次治療を行ったにもかかわらず、(1)がんが大きくなった(2)明らかに副作用による不利益のほうが大きい(3)患者に治療を継続したくないという気持ちがある、のいずれかが該当した場合、一次治療を終了し、二次治療に移行することになる。ここに新規の薬剤が昨年承認された。

「ラムシルマブという血管新生阻害薬です。これを抗がん剤のパクリタキセルという薬と点滴投与することで、腫瘍の縮小効果は上がります。薬剤の性質上、脳梗塞などの既往がある人には使えません」(同)

 ラムシルマブはがん細胞の増殖に必要な栄養を断つ作用を持ち、切除不能の胃がん患者の延命効果をさらに延ばすことが期待されている。

 このような薬剤の選択肢が増えてきたことで、生存期間は確実に向上している。また、抗がん剤を使用した結果、がんが縮小し、手術で切除にいたった患者も少なくない。現在、リンパ節転移がある患者に術前抗がん剤治療を行う効果についても検討されている。

「抗がん剤の使用により何らかの副作用は起きるため、短期的にはQOL(生活の質)が落ちます。ただし、QOLを悪化させる最大の原因はがんの進行です。副作用の多くは一時的なもので、徐々に慣れる人も少なくありません。診察室で患者さんに縮小したがんを見せると、とても喜ばれます。希望を持ち続けてほしいです」(同)

(文/ライター・山崎正巳)

※週刊朝日MOOK「新名医の最新治療2017」より抜粋


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