何もきっかけがないのに、いつの間にか骨折していることも……(※イメージ写真
何もきっかけがないのに、いつの間にか骨折していることも……(※イメージ写真

「ひじが痛い」「手術を勧められた」。整形外科の患者によくある悩みを、部位ごとに分けて専門医に聞きました。今回は「いつの間にか骨折」についての回答を詳しく紹介します。

【Q】3カ月ぐらい前から寝返りをするときの背中の痛みや、起き上がるときの腰の痛みがあり、そのうち立っていることや歩くこともつらくなりました。整形外科を受診したところ、エックス線検査で背骨が圧迫骨折していることがわかりました。転んだり、ぶつけたりもしていないのに骨折することがあるのでしょうか?(女性・80代)

【A】骨粗鬆症により骨が弱くなると気づかないうちに骨折することも
<回答者:JCHO大阪病院 副院長 冨士武史医師>

 これは、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)による圧迫骨折(椎体[ついたい]骨折)と考えられます。骨粗鬆症は、閉経後の女性にとくに多い病気で、骨がもろくなるために骨折しやすくなります。何もきっかけがないのに、いつの間にか骨折していることもありますし、転んで尻もちをついたり、荷物を持ち上げたり、おじぎをしたりというちょっとした動作で骨折することもあります。

 圧迫骨折は、骨折したときには痛みがないこともあり、痛みが出始めた時点でレントゲンを撮っても、最初は骨がつぶれていないので骨折がわからないこともよくあります。その後、3~4カ月ぐらい痛みが続きながら、だんだんその骨がつぶれていきます。

 骨折していることがわかったら、骨折の治療とあわせて骨粗鬆症の治療も始めます。骨がもろくなっているということは、いつ、からだのどこの骨が折れても不思議ではない状態にあるということです。実際、一度圧迫骨折をした人は、骨粗鬆症を放置していると、何度も骨折を繰り返すことが多くあります。

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