大谷の日本最速となる164キロの速球を右前適時打とする糸井=白井伸洋撮影、2016年9月13日 (c)朝日新聞社
大谷の日本最速となる164キロの速球を右前適時打とする糸井=白井伸洋撮影、2016年9月13日 (c)朝日新聞社

 シーズン最終盤を迎える中、優勝争いとは別のところで俄然、注目を集めている男がいる。オリックスの“超人”、35歳となった糸井嘉男だ。

 昨季は左ひざを始めとした多くの箇所に痛みを抱えた状態でプレーした影響で、打率.262、17本塁打、68打点、11盗塁と前年度(打率.331、19本塁打、81打点、31盗塁)よりも大きく成績を下げた。特に打率と盗塁は、レギュラーに定着した日本ハム時代の2009年以降で最低の数字だった。しかし、オフの間に左ひざの治療に努めて万全の状態で迎えた今季は、開幕から10試合連続安打を記録するなど好スタートを切り、その後も好調をキープ。7月31日に35回目の誕生日を迎えて以降はさらにアクセルを踏み込み、8月は月間打率.326で14盗塁をマークすると、9月は23日現在で月間打率.355の高打率に計6本塁打。チームとしては消化試合が続く中、出色の働きで球場に訪れたファンを大いに沸かせている。

 怒涛のラストスパートを続ける糸井の眼前の目標は、史上最年長での盗塁王のタイトル獲得である。これまでの自己最高は2013年の33盗塁だったが、今季はその数字を軽々とクリアし、9月6日のソフトバンク戦で大台の50盗塁に到達。糸井が今季、盗塁王を獲得すれば、82年の福本豊(阪急)、92年の大石大二郎(近鉄)の34歳11カ月を更新し史上最年長記録となる。現在、西武の金子侑司と激しいデットヒート(9月23日現在で糸井53盗塁、金子52盗塁)を繰り広げており、残り試合はオリックスが7試合、西武が5試合。若干ではあるが糸井に有利ではあり、目の離せない状況になっている。

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