同様に、1997年に8月8日を「やまなし『山の日』」とし、山の日が祝日となるよう国や他の都道府県に働きかけてきたという山梨県では、「やまなし『山の日』」の理念を祝日の「山の日」に継承するという形で廃止。8月11日を中心に県内各地で山に親しむイベントが開かれる。

 愛媛県は、「木がたくさん立っているように見える」という理由で、2004年から、11月11日を「えひめ山の日」としている。祝日制定を受け、8月11日には森林散策のイベントを行うが、独自の山の日も残す方針だ。ちなみに11月11日は「四国山の日」でもある。05年に11月の第2土曜を「おおさか『山の日』」とした大阪府も独自の山の日を継続するという。

 14年に7月の第4日曜を「信州 山の日」と定めた長野県も続ける。同県では7月15日から8月14日までの1カ月間を「信州 山の月間」としており、独自の山の日と祝日、両方が期間中に含まれるため、担当者は「相乗効果で多くの人に来てもらいたい」と期待する。

■ところで何しよう?
 山の日だが、いったい何をして過ごすのがいいのだろうか。長野県松本市では、8月10、11日に第1回「山の日」記念全国大会を開催。制定を祝う式典が開かれるほか、一般の人も参加できる信州四方山(よもやま)祭りでは、山に関するトークショーやコンサートなどが行われる。担当者は「山好きな人はもっと山を楽しむ機会に、山に縁がなかった人は気軽に山に親しんでほしい」とPRする。

 ツイッターでは「山登りにでも行こう」「自然に感謝して過ごしたい」というつぶやきもあるが、翌日が平日なだけにあまり疲れをためたくないところでもある。日本気象協会が20~60代の男女500人を対象に行ったアンケートでは、山の日の過ごし方について「山に行きたい」と答えたのはわずか9.6%。「ゆっくり自宅で休みたい」という回答が約6割と最多だった。

 全国山の日協議会事務局長の手塚友惠さんは、「日本列島の7割が山地であり、日本人は古来より山の美しさ、豊かさに親しみ、その恩恵に感謝し、それを次の世代へと受け継いで暮らしてきた。甘えの許されない大自然の中で、自ら考え行動し判断し、責任を負うという体験ができるのも山ならでは。ポケモンGOに没頭するよりもたくましい子どもたちをはぐくむ格好のアプリにもなる」と話す。

 そして山の日については「子どもたちの自然体験や地域の活性化、登山の安全、自然災害と防災などの解決を模索する、総じて『山を考える』きっかけの日としてもらえれば」と期待する。

 日本人にとって身近な存在ゆえか、さまざまな事情が絡み合う山の日。あなたはどう過ごしますか?(ライター・南文枝)