一方、長年にわたり日本の屋台骨を支えてきた福原は、ここのところ振るわない。チームをまとめる存在感は未だ健在だが、ジャパンオープンでは、格下ながら過去4勝10敗と分が悪い香港の帖雅娜に対し、速い攻撃で第1ゲームを奪ったものの、その後は4ゲームを連取され初戦敗退。今年に入って、銀メダルを獲得した卓球世界選手権団体戦(3月6日決勝:クアラルンプール)でもチームの要として気丈に振る舞ってはいたが、北朝鮮やドイツなどライバル勢に勝つことができず、その落ち込みようは相当なものだった。さらに今年4月には、せきぜんそくを発症し思うように練習が積めていないことも不振の一因だといわれている。ただ、リオデジャネイロ五輪までにワールドツアー韓国オープン(6月26日決勝)、そしてナショナルチームの合宿が3回予定されているため、本人は「リオ五輪まで、まだ50日ある」と本番までの立て直しを誓っている。

 石川、福原をしのぐ勢いに乗るのが、超新星の伊藤だ。弱冠15歳ながら、卓球世界選手権団体戦の銀メダルに大きく貢献。チームのピンチを幾度となく救い脚光を浴びた。続く4月のリオデジャネイロ五輪アジア大陸予選でも、ロンドン五輪銀メダリストの丁寧(中国)を下す大金星。その丁寧にジャパンオープンでは破れたが、「勝っても負けてもおかしくない。対等に戦えるようになってきている」と自信を見せる。「アウェー戦や相手が強いときほど燃える」という持ち前の精神力と相手の意表を突く多彩で攻撃的なプレーが魅力の伊藤。その勝負強さでリオデジャネイロ五輪でもメダル獲得のキーマンになりそうだ。

(文・高樹ミナ)