さらに9位に選ばれた天むすも、三重県発祥といわれている。エビの天ぷらを具材にしたおにぎりで、名古屋めしの代表格ともいわれる天むすだが、発祥店はこちらも津市の「千寿」という説が有力だ。

 1958年頃にまかない飯として考案されたという天むすが名古屋に伝わったのは、1980年と意外に最近のこと。中区大須に「めいふつ天むす千寿」という店があるのだが、これは三重の千寿から製法を引き継いだ、いわばのれん分けといえるお店で、名古屋に始めて天むすを伝えたお店といわれている。

 そして最後のひとつは、なんと、5位のきしめんだ。ただきしめんの場合は他県ではなく、同じ愛知県三河の芋川(現・刈谷市)が発祥とされいる。芋川で食べられる平たいめんは「いもかわうどん」と呼ばれていたが、名古屋では「きしめん」と呼ばれていたとする書物も残っている。

 他にも、三河池鯉鮒宿(現知立市)で雉(きじ)の肉を入れたうどんが好評で雉麺(きしめん)と呼ばれて名古屋にまで伝わったという説を、名古屋市教育委員会が主張している。みそカツと同じくそれらを裏付ける資料がないため、どれが本当の説なのかはわからないが、三河発祥ということだけは、確かなようだ。

 名古屋市の台湾料理店が考案した7位の台湾ラーメンもそうだが、名古屋はもともと、他の土地の食べものを独自にアレンジして名古屋めしとしてきた歴史がある。発祥はどこであれ、名古屋旅行の楽しみのひとつになっていることは確かだ。