在宅医療連携拠点では、病院を退院する患者に訪問診療をする医師を紹介する。さらに、各区の医師会にある訪問看護ステーションに在宅医療相談室を設置し、ケアマネジャーの資格を持つ看護師などが在宅医療に関わる相談に応じる体制づくりが進められている。

 横浜市医療局の藤井裕久在宅医療担当課長はこう話す。

「在宅医療相談室は13年にモデル事業として西区で先行実施し、手ごたえを得て、15年の1月からは南区を含む10区が新たに加わった。17年度までに横浜市全区での展開を予定しています」

 医師や訪問看護ステーションなどからの相談に応じるのも、在宅医療相談室の役割である。とくに在宅診療をおこなっている医師の支援には力を入れている。

 たとえば在宅診療をしている内科医からは、「皮膚科や眼科、歯科などの診療が必要だが、往診に応じてもらえるところはないか」「患者さんの体調が良くないので、病院に一時的に入院させたい」「学会に行く間、別の医師に患者さんを診てもらえないか」といった問い合わせも。南区の場合、往診可能な医師は10人ほど。少しずつ増えているが、それでも人数が少なく、在宅医療相談室のバックアップは心強い存在だ。

 なお在宅医療相談室は、在宅医療の関係機関との橋渡し的な役割も担っている。

「各職種がそれぞれ蓄積している知恵を出し合えば、患者さんや家族にとって快適で安心できる医療が実現できるのではないでしょうか」(高砂さん)

(取材・文/谷わこ)

※週刊朝日MOOK「自宅で看取るいいお医者さん」より抜粋