ただ、オランダが、前線の3トップにタテパスを蹴るのではなく、ワイドに開いたサイドの選手を攻撃の起点に、ドリブル突破など攻撃に時間をかけたことは、日本にとってラッキーだった。7分にスルーパスからメリスが左サイドを抜け出したものの、踏み込んだ足がボールに触れてシュートはカラ振りとなって助かったが、こうした攻撃パターンの方が日本にとっては嫌だった。

 アディショナルタイムにはファン・デ・フェンの遠目からのヘディングシュートをGK海堀が後ろに逸らして1点を献上。おそらく海堀は胸でトラップしてドリブルするなど時間を稼ぎたかったのだろう。その気持ちは分かるがミスはミス。この失点を教訓に、次も出場機会があったら慎重なプレーを望みたい。

 今大会は日本に運があると抽選会後によく言われた。グループリーグを順当に勝ち上がれば、日本が苦手とするドイツ、アメリカ、フランスのFIFAランク1~3位(日本は4位)とは決勝まで当たらないからだ。決勝トーナメントで日本の強敵は「女ロナウジーニョ」ことマルダを擁するブラジルだったが、1回戦でオーストラリアに0-1と敗退。近年力をつけてきているオーストラリアとはいえ、ブラジルを倒したのは意外だったし、ここでも日本にはツキがあるようだ。

 オーストラリアは、佐々木監督が就任した2008年以降、6勝1分け1敗と相性の良い相手。試合はオランダ戦と同様に接戦となるだろうが、数少ないチャンスを確実にモノにする“なでしこ”らしい試合を期待したい。

サッカー・ジャーナリスト 六川亨)