そして、さらに読み進めていくと、この本では収益用の不動産とは逆に「自宅の購入」こそが「お金の浪費」の代表格だとしています。

 確かに、住宅を購入することは、「教育費」及び「老後費」と並ぶ人生の3大支出項目とされており、総支払い額は数千万円となります。また、収益用不動産とは違って、お金を生み出すものではなく、維持費などでお金が出ていく=浪費するという考え方もできます。

 ロバート・キヨサキ氏は住宅の購入ではなく、投資用不動産の購入を勧め、投資用不動産の購入は毎月一定の家賃収入を得られるキャッシュを生み出すシステムであるとして、左記のように表しています。

 投資のための不動産=「資産」(キャッシュを生む不動産)
 居住のための不動産=「負債」(キャッシュを浪費する不動産)

 しかし、本当にそうなのでしょうか?

 この本の中で、たったひとつ私が同意できなかったのが、この居住のための不動産の考え方です。

●「住宅費」は、生きている限りずっとかかるもの

 親から譲り受けたなど、自宅を持っている人は別として、購入するにしろ、賃貸するにしろ、住宅費は必ずかかります。住むための不動産を購入して住宅ローンを支払うことを一律に「負債」と決めつけてしまっては、本質そのものを見誤ることになります。

 私は、その家が本当に負債なのかどうかは、賃貸で住む場合と住宅を購入した場合とで、きちんとそれらの総コストを把握し、そのうえで比較する方法によって判断すべきだと思います。というのも、将来売却するのであれば、それは「資産」として考えることができるからです。

 例えば、購入した住宅が、数年、もしくは十数年後に、購入時よりも高く売れるのであれば、月々支払っていたローン返済のお金は貯金していたのと変わりなくなります。

 一方で将来、売却するときの価値が、購入時に比べてほとんど価値がなくなっていたとしたら、それはずっと賃貸で住んでいた場合よりも、損をしてしまっている可能性が高いでしょう。

 さらに、賃貸支持派の人たちのなかには、先行きの見えない時代に、30年を超えるような長期のローン、つまり借金を背負うことについて否定的な意見もあります。けれども、賃貸にしても、家賃を一生涯払い続けなければならないという金銭不安がつきまといます。住宅ローンの支払いはいつか終わりますが、賃貸で住み続ける場合の支払いはずっと続くのです。

 ロバート・キヨサキ氏は、住宅は負債と考えると主張していましたが、資産価値がある家を購入すれば負債とはならない、私はそう考えています。