「業界では、来年には飯島氏が再び、SMAPの移籍に動くと言われています。SMAPという巨大利権を1人で握っていた飯島氏はジャニーズからの給料以外に様々な収入があり、数十億円の資産があって資金力には不安はない。さらに彼女はジャニーズ事務所を黙らせるスキャンダルを握っているという噂がある。SMAPの後ろ盾としては、もう一度ケイダッシュがつくという約束をしていて、この話にはテレビ朝日も了承しているそうです」

 9月27日、テレビ朝日の早河洋会長兼CEOは定例記者会見の席上、SMAP騒動に絡んで「事務所が強ければ成功するというものではない」「我々にすればプロダクションはいっぱいあるわけで、その中の優れた俳優をそろえて編成していく」と発言し、波紋を呼んだ。いわば、「ジャニーズも芸能プロのひとつに過ぎない」というのである。

 実際、10月28日には、テレビ朝日の看板音楽番組である『ミュージックステーション』に「ジャニーズの圧力のために出演できない」と言われてきたエイベックスのAAAが出演し、「ジャニーズの弱体化」が話題になった。では、テレビ朝日が芸能事務所の圧力に毅然とした態度を取るようになったことの表れかと言えば、そう単純な話ではないようだ。先の芸能関係者はこう語る。

「最近、テレビ朝日はサイバーエージェントとの合弁会社をつくってAbemaTVというインターネット放送局を立ち上げ、専用アプリは1000万ダウンロードを記録し大成功を収めていますが、この仕掛け人と言われているのがテレビ朝日とサイバーエージェントの両方に食い込んでいるケイダッシュ幹部の谷口元一氏です。テレビ朝日の方針はジャニーズと距離を置きつつ、ケイダッシュへの依存を強めていくということで、その中でSMAPの移籍話が出てくるのです」

●テレビ局を支配する芸能事務所の裏には政権の影が

 渡辺プロ、バーニング、ケイダッシュ、ジャニーズと、その時々で芸能事務所の名前は変わるが、芸能事務所によるテレビ局支配という構図は基本的には変わらない。

 特に最近のテレビ朝日は、バーニングやケイダッシュの影響が強まっている。テレビ朝日では2014年からバーニングやケイダッシュと関係が深い幻冬舎の見城徹社長が同社の放送番組審議会の委員長に就任し、テレビ朝日内に隠然たる影響力を持つようになった。

 見城氏はバーニングやケイダッシュだけでなく、安倍晋三首相とも近い。近年、テレビ朝日の番組では安倍政権に批判的な論客が姿を消し、代わってバーニングやケイダッシュの系列芸能事務所に所属するコメンテーターが起用されるケースが増えているが、業界では「見城氏の意向の表れ」だとささやかれている。

 タレントの持つ、大衆に対する影響力は極めて大きい。時の政権がそれに目をつけるのは当然かもしれない。だが、権力を監視する立場にあるメディアがその職責を忘れ、利益追求のために報道の中立性をないがしろにして、芸能事務所の意向に従っているとしたら大きな問題だ。巨大利権であり、社会的影響力を持つSMAPも、そうした大きな力から逃れることはできないのだ。(フリーライター・星野陽平)