芸能事務所のメディア支配の実態とは? (※写真はイメージ)
芸能事務所のメディア支配の実態とは? (※写真はイメージ)

 1月のSMAP解散騒動に始まり、夏目三久と有吉弘行結婚・妊娠報道やレコード大賞の買収疑惑など、今年は芸能スキャンダルの当たり年だった。だが、それらを報じるマスコミの姿勢に対し、ネット上で様々な批判の声が相次いだという点でいつもの芸能報道とは異なる。今、芸能界で何が起きているのだろうか?

ジャニーズ事務所の顔色をうかがう大手メディア

 筆者は2014年に芸能界の構造的問題をテーマとするノンフィクション『芸能人はなぜ干されるのか??芸能界独占禁止法違反』(鹿砦社)を、さらに今年になって同書に補章を加え、『増補新版』として刊行した。

「芸能界の構造的問題」はSMAP解散騒動でも如実に明らかとなった。

 木村拓哉を除く中居正広など4人のメンバーは、デビューの時から世話になってきたマネージャーの飯島三智氏が退職するのを機に他の事務所への移籍を模索していたとされるが、結局、移籍は実現せず、謝罪会見をテレビで放送することを余儀なくされた。

 ネット上ではSMAPメンバーらに対して、彼らが所属するジャニーズ事務所が謝罪を強要したとの見方が有力で、ジャニーズに対する批判の声が上がった。だが、大手メディアはジャニーズの顔色を伺って、中居や香取など移籍を画策したメンバーが悪玉で、移籍を封じ込めた木村が善玉であるかのような報道を垂れ流した。

 ジャニーズ事務所は、男性アイドル市場において独占的な地位を有しており、業界での影響力が突出している。後足で砂をかけるようにジャニーズを辞めたタレントは業界で干されるし、メディアもジャニーズと敵対すればやっていけなくなるのだ。

 この構造は以前から指摘されてきたことだが、近年はネットの普及で新聞やテレビなど大手メディアの力が低下した結果、有力タレントを擁する大手芸能事務所の影響力が相対的に高まったことで、より深刻化しているようだ。

●現在の芸能界の原型となったカルテル「五社協定」

 そもそも、現在の芸能界の原型は1953年に松竹、東宝、大映、新東宝、東映の映画大手5社の間で締結された「五社協定」と呼ばれるカルテルにある。

 この五社協定は、映画会社間での俳優の引き抜きを禁じ、違反者に罰則を科すというものだった。それ以前は、俳優の移籍が活発に行われていたため、出演料が高騰し、各映画会社の収益を圧迫していた。さらに、戦時中に映画製作を中止していた日活が終戦後に再開する計画を示していたことから、その対抗策としても5社の思惑は合致したのだ。

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