北方領土「2島先行返還」は日本にとって損か得か? (2/5) 〈ダイヤモンド・オンライン〉|AERA dot. (アエラドット)

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北方領土「2島先行返還」は日本にとって損か得か?

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「2島先行返還論」が浮上するなど、動きが出てきた北方領土問題。北方領土問題が日本にとって非常に重要な課題であることは間違いない。しかし、安倍総理は領土問題以上に、対中戦略に重きを置いた舵取りをすべきだ

「2島先行返還論」が浮上するなど、動きが出てきた北方領土問題。北方領土問題が日本にとって非常に重要な課題であることは間違いない。しかし、安倍総理は領土問題以上に、対中戦略に重きを置いた舵取りをすべきだ

・ソ連は、日ソ中立条約を破って対日参戦した。
・ポツダム宣言受諾後の、1945年8月28日から9月5日までに、北方4島を占領した。

 それで、日本側は「不法占拠だ!」と捉えているのだが、ロシア側の意識は、日本とまったく異なっている。ロシア人と話していて感じるのは、彼らには、「固有の領土」という言葉の意味がわからないということだ。

●ロシア人が「北方領土は自国の土地」と単純に信じているのはなぜか?

 なぜだろうか? ロシア人は、「領土というのは、戦争のたびに変わるもの」という意識なのだ。これは、おそらくロシアの歴史と深く関わっている。ロシアの起源は、882年頃に成立したキエフ大公国だ。首都はキエフだったが、現在はウクライナの首都になっている。ロシアの起源である都市が、外国にあることに注目だ。

 キエフ大公国は1240年、モンゴルによって滅ぼされた。その後、モスクワ大公国(1263年~1547年)→ロシア・ツァーリ国(1547年~1721年)→ロシア帝国(1721年~1917年)と発展した。このように、ロシアは東西南北を征服して領土をひろげ、ついに極東にまで到達した。

 つまり、ロシア領のほとんどは、歴史的に繰り返された領土争いによって獲得した「征服した土地」で、いわゆる「固有の領土」は、比率的にとても小さい。

 こういう歴史を持つロシアに、「固有の領土だから返してくれ!」と言っても、「固有の領土とは何ですか?」と逆に質問されてしまう。だから、北方領土について、「ロシア(ソ連)は日本に戦争で勝った。結果、北方4島はロシア(ソ連)の領土になった」という意識なのだ。

 インテリになると、もっと論理が緻密になる。

「1875年、樺太・千島交換条約で、樺太はロシア領、千島は日本領と決められた。ところが日ロ戦争の後、勝った日本は南樺太を奪った。ロシアが、南樺太を返してくれと言い続けていたら、日本は返還してくれただろうか?」と質問をされることがある。

 筆者は、「返さなかっただろう」と正直に答える。

 さらに、「日本は、日清戦争で勝って台湾を奪ったが、清が返せと主張し続けたら、返しただろうか?」と続ける。筆者は、「返さなかっただろう」とまた答える。

 すると、ロシアのインテリは「日本は戦争に勝って奪った領土を、話し合いでは返さない。しかし、自分が負けた時は、『固有の領土だから返せ!』という。フェアじゃないよね」と言う。


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