また、頭脳明晰になるのなら、左脳を高めたほうがいいと思うかもしれません。しかし、アイデア力や創造力を高めたいのなら、断然右脳。次々にアイデアをひらめく脳になるかもしれません。さらに、右脳は情報を処理するスピードも速いので、現代人にとって必要な働きをしているのです。

 周りの人の「妬み」「怖れ」をいかに抑制するか。優れた才能も、使い方を一歩間違えれば我が身を亡ぼす「諸刃の剣」となってしまうことを肝に銘じなければなりません。

●ヨガで脳内物質が向上する

 ヨガと聞くと、怪しげだとか、女性が美容のためにやるものというイメージを持っている方は多いでしょう。しかし、ヨガに対して偏見があるのは日本人ぐらい。この連載でも何回かお伝えしたように、世界各国でヨガは男性も普通に取り入れている鍛練法なのです。

 しかも、世界的に有名な指揮者であるヘルベルト・フォン・カラヤンや、ミュージシャンのスティングもヨガに深く傾倒しています。一流の芸術家でさえハマるのは、ただ体が柔らかくなるという効果があるからではないのです。緊張した神経をリラックスさせ、集中力を高めて、最高のパフォーマンスを引き出すためです。

 脳の神経伝達物質の一つに、GABA(ガンマアミノ酪酸)という天然アミノ酸があります。

 このGABAは、抑制性の神経伝達物質。興奮した神経を落ち着かせたり、ストレスをやわらげたり、リラックスさせる働きを持っているのです。強いストレスを感じていると、GABAが不足するといわれています。現代人でイライラしている人が多いのは、GABAが足りないからかもしれません。

 2007年にボストンで発表された研究によると、ヨガを週2回以上行っている人は、GABAが平均27%も上昇したそうです。さらに、ヨガ歴10年の人は47%上昇し、また週5回行っている人は80%も増加して物質の濃度も2倍近かったといいます。

 他の研究では、ヨガの初心者でもGABAが大幅に上昇し、ウォーキングの実践者よりも高かったそうです。GABAが増加することで不安が軽減し、気分が向上したのだとか。

●脳力をアップして10歳若返る

 脳力は年と共に衰えていくと考えられています。しかし、最近の研究ではいくつになっても脳は鍛えられることが分かってきました。

 とはいえ、一時期流行った脳トレのゲームをやれば鍛えられるわけではありません。

 体やメンタルと同じように、脳を自分で鍛える「ブレインフィットネス」が注目されています。これは運動や食事、人間関係やストレスなど、さまざまな側面から脳をグレードアップする方法です。このなかに、瞑想も重要な要素として入っているのです。

 ブレインフィットネスでは、瞑想によってストレスを管理し、回復力をアップするとされています。これは深くてゆっくりした呼吸を行うことで、自律神経をコントロールするから。神経をリラックスさせる副交感神経の働きが活発になり、興奮や緊張などのストレスによる症状を軽減できるのです。その効果により、集中力も増すのでしょう。

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