沖縄では、基地問題が大きな争点になっているのに対して、新潟では、原発再稼働問題が大きな争点だ。安全保障政策とエネルギー政策という違いはあるが、国の政策に地域が反旗を翻すという共通性がある。しかも、どちらでも保守層の中にかなりの基地反対派、原発再稼働反対派が存在するのもよく似た構図である。

 その新潟県で、米山隆一前県知事の女性スキャンダルによる任期途中の辞任を受けて行われた6月の選挙では、組織票で優位に立つ与党候補に対して、野党候補は、当初から支持率で接戦を演じていた。組織力で優る与党候補を野党候補が猛追して逆転するという従来の選挙の野党勝ちパターンから見て、野党候補楽勝ではないかとの見方もあった。当日の投票率が前回よりも5ポイントも高くますます野党優位のはずだったが、ふたを開ければ、与党候補が圧勝した。しかも、野党側の大票田である新潟市でも与党候補が得票数で上回るという完勝であった。

 その時に採った与党側の作戦が、「まやかし」「恫喝」「バラマキ」による誘導選挙であった。「まやかし」とは、本来は再稼働容認であるのに、あたかもそれに反対であるかのようなイメージを打ち出して戦い、原発を争点から消してしまう作戦だ。「恫喝」は、もちろん、与党候補を落としたら、新潟に対する予算配分を減らして、建設業関係などの仕事を減らすぞという業界団体への脅しである。「バラマキ」は、その逆で、当選させれば、予算措置で特段の配慮をすると裏で約束することだ。事実上の買収と言っても良い。

 そして、これらの行為はすべて水面下で行われる。「ステルス」作戦とも言われた。大物議員を投入しても街宣はさせず、業界団体・企業回りで徹底的に恫喝とバラマキを繰り返す。やり過ぎで逆効果になるのではないかというほど徹底したローラー作戦が展開されたという。この選挙では、小泉進次郎氏が応援に入らなかった。それでも勝利したのは、この「鉄板」選挙戦術が極めて有効だということを証明している。

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玉城氏はオール沖縄の色を消すべき