2月の沖縄県名護市長選でも同様の作戦が展開されたが、その時は「切り札」としての小泉進次郎氏の応援が破壊的な威力を発揮したとも言われ、その意味で、純粋な鉄板選挙戦術で勝ったのは新潟県知事選挙が初めてだと言って良い。

 もちろん、今回の沖縄県知事選挙でも、この新潟方式が使われる。恫喝とバラマキについては、いつもの通り、既に業界団体には厳しい締め付けと懐柔が始まっているようだ。先週のコラムでも紹介したとおり、8月15日の日本経済新聞電子版には「自民党は沖縄県知事選に向けた新たな沖縄振興策の検討を始めた」という小さな記事が出た。こうしたニュースを書かせることで、自民党が、知事選向けに、わざわざ「新たな」沖縄振興策を準備してくれているのだということを業界に周知させるのである。

「まやかし」も定石通り。佐喜真氏は、出馬会見で、普天間の返還は進めるとしながら、その移設先の辺野古基地建設については、回答を先延ばしした。もちろん、これを争点から消す作戦だ。そのうえで、「沖縄を分断するな」という、いかにも誰もが賛成しそうなキャッチフレーズを口にする。分断させている責任者は自民党であるのに、あたかもオール沖縄に責任があるかのごとく喧伝するのだ。これも「まやかし」である。安倍政権与党の支援を受けていることによる「タカ派色」を消して、いかにも中道であるかのように振る舞えば、右翼層だけでなく中間層に食い込むことができるという計算だ。

■玉城氏はオール沖縄の政党色を消して経済界の幅広い支持を取り付けるべき

 このような安倍政権側の戦術に対して、玉城陣営はどう戦うべきか。
 ここでも新潟の例が参考になる。新潟では、米山隆一前知事の路線を引き継ぐとした野党候補の池田千賀子氏だったが、米山氏の支持基盤のうち、保守層の支持を大きく失うことになった。元々、米山氏は、自民党や日本維新の会からの立候補歴があり、保守層の支持もかなり集めていた。しかし、後継候補の池田氏には、そのような保守系とのつながりがなく、しかも、選挙戦は、市民連合の「左翼的な雰囲気」の漂うものとなった。実は、この選挙で、リベラル候補はリベラル層に働きかける必要はなかった。彼らは自民に流れることは絶対にないからだ。したがって、選挙戦は如何に保守層を取り込むかに焦点を当てるべきだったが、それができなかった。その結果、米山氏の保守支持層のかなりの部分を取りこぼし、それが自民候補に流れて完敗となったのである。

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玉城氏はリベラルな経済政策を