男女のジェンダーギャップだけでなく、正規/非正規、親会社/子会社、本社採用/現地採用など、日本的雇用制度ではあらゆるところに「身分」が顔を出す。日本は先進国のふりをしているが、その実態は江戸時代の身分制社会に近い。日本人同士が出会うと、まず相手の所属=身分を確認し、尊敬語や謙譲語で上下関係を示そうとするが、こんな「風習」は欧米ではもはや存在しない。
近代の理想は、自由な個人が自らの可能性を社会の中で最大化できることだ。こうした価値観は日本人も共有しているが、実際には男は会社、女は家庭というイエに押し込められて身動きがとれなくなってしまう。理想と現実のこのとてつもない落差が、日本人の幸福度を大きく引き下げているのだろう。
(※1)「労働生産性の国際比較 2017年版」日本生産性本部
(※2)ロッシェル・カップ『日本企業の社員は、なぜこんなにもモチベーションが低いのか』(クロスメディア・パブリッシング)
(※3)スーザン・D・ハロウェイ『少子化時代の「良妻賢母」変容する現代日本の女性と家族』(新曜社)