セネガルには武藤嘉紀の機動力が必要だ (c)朝日新聞社
セネガルには武藤嘉紀の機動力が必要だ (c)朝日新聞社

■コロンビア戦の勝利の立役者、大迫勇也はセネガルに通用するか?

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 ワールドカップ初戦でコロンビアに勝利した日本代表は現地時間24日にセネガルと対戦する。より厳しいデュエル(1対1)が求められる試合になるのは必至だが、特に1トップで出場が見込まれる大迫勇也が挑むのは、セリエA(イタリア)屈指のDFとして知られるカリドゥ・クリバリ、そして196cmの屈強の肉体を誇るサリフ・サネだ。

 コロンビア戦では、自陣でのクリアボールから香川真司が前に蹴ったボールを受けた大迫が相手ディフェンスとの競り合いを制してシュートまで持ち込み、香川のPKを誘発するシュートにつなげた。さらに大迫は自ら決勝点を挙げたCKにつながる粘り強いポストプレーを見せるなど、コロンビア戦の勝利の立役者であることは間違いない。ただ、その彼の力がそのままセネガルにも通用するかと言えば話は変わる。

 クリバリとサネは初戦のポーランド戦でロベルト・レバンドフスキとアルカディウシュ・ミリクという強力な縦の2トップを抑え込んだコンビであり、大迫は基本的には単独でその2人の大男に挟まれる形になる。セネガルは守備の強度が非常に高く、日本が中盤でポンポンとパスを回して翻弄できるような相手ではないため、手数をかけずに大迫にボールを入れていく形も考えられるが、そこからまともに繋がせてくれる相手でもない。

 ハノーバー所属で、同じブンデスリーガ(ドイツ)の強豪シャルケへの移籍が決まっているサネは空中戦での圧倒的な強さを誇る。体格の割に機動力も高いが、大迫は対戦経験がある。一方のクリバリはブンデスリーガにもなかなかいないレベルの選手であり、高くて強いだけでなく技術と老獪さもある。前からボールを奪いにいくだけでなく、カバーリングの能力にも優れる選手だ。

 大迫が2人とまともに競り合ってボールを繋ぐというより、できるだけ高い位置で牽制して、その手前のスペースをトップ下の香川が使い、サイドの乾貴士や原口元気が追い越していくような形を生み出したい。ただ、それでも大迫の強みをダイレクトに発揮することはかなり難しい。

 日本は2トップ気味の布陣にするという方法もあるが、ボランチと2トップの距離が開きすぎるとサイドからのクロスに頼るだけの攻撃に陥り、そうしたクロスはほとんど跳ね返されるだろう。

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大迫のスタメン起用にこだわるな