コロンビア戦でヘディングシュートを決める大迫 (c)朝日新聞社
コロンビア戦でヘディングシュートを決める大迫 (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 コロンビアから歴史的な勝利を挙げた日本。開始3分に相手のハンドを誘い、いきなり先制と1人多い状況になったことが最大のトピックだ。その流れを引き寄せた積極的な姿勢がひとつの大きな勝因だが、もうひとつ挙げたいのが試合中の修正力だ。

 ほぼフルタイムを1人多い状態で戦えたものの、前半は全体が慎重になりすぎたのか、相手のブロック内に入っていけなかった。その中で香川真司の絶妙なパスから乾貴士が惜しいシュートに持ち込んだシーンなどあったものの散発に終わり、セカンドボールも取れなかった。ボールをつなぐ位置が深く、4-4-1になったコロンビアに対して数的優位の利点を生かしていけなかったからだ。

 そうなるとコロンビアの4-4という部分に対するプレッシャーは同数と変わらない。スタンドから見ていても、ボールサイドでは11対10にはとても見えなかった。そうした状況で直接FKから同点にされた日本代表。西野朗監督と選手はどういう解決策を見出したのか。

「リスクを負っていく場面と、誰かがリスクを負ったら、誰かがバランスを取るという場面は、『しっかりやっていこう』という感じでやっていた。後半に関してはかなりそれができていたので、そのへんはコミュニケーションという部分が、すごく実ったゲーム」

 長谷部誠キャプテンが振り返るように、点を取るために全て前がかるというわけではなく、ポジションバランスを調整することでボールを回りやすくして、1人多いことを効率よく生かす戦い方だ。具体的に2つ挙げると、ボランチの1人が前に出て、もう1人と斜めの関係を作る。もうひとつがサイドバックのポジションを高く取ることだ。

 前半の立ち上がりに相手が1人少なくなったと言っても、コロンビアの左右のサイドハーフは4年前に辛酸をなめさせられたフアン・クアドラードとプレミアリーグの終盤戦にブレイクしたホセ・イスキエルドのコンビであり、長友佑都も酒井宏樹も彼らの突破力を警戒して深くポジションを取りすぎていた。

 イーブンの状況でショートカウンターに活路を見出すなら、そこから機を見て駆け上がる攻撃参加の仕方でもいいが、相手は4-4-1の形であり、1トップのラダメル・ファルカオも前からプレッシャーをかけられる状況ではない。それにもかかわらず、両サイドバックがセンターバックとほぼ同じ高さを取ってしまっては支配的にボールを回していくことはできない。

 もうひとつはボランチのポジショニング。途中から長谷部と柴崎岳が左右入れ替わっていたが、後半はボールの反対サイドにいる選手がひとつ前に出て2列目に近い距離を取り、そこから高い位置の選手と絡んで崩しにいく。それによりインサイドとアウトサイドを使い分けてコロンビアのブロックを揺さぶることが可能になった。

次のページ
よくない流れを後半に修正