注意したいのはオフショットだ(※写真はイメージ)
注意したいのはオフショットだ(※写真はイメージ)

 カメラを持って街に出ると、さまざまなシャッターチャンスにあふれている。しかし、レンズの先にある被写体や街の風景は、撮影しても法的に問題ないのだろうか? 「撮影禁止」という表示は守らなくてはいけないのだろうか? アサヒカメラ特別編集『写真好きのための法律&マナー』から、改めて街中で写真を撮ることについて、みずほ中央法律事務所代表弁護士の三平聡史さんが具体的なケースを基に解説する。

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【ケース1 迫力のある祭りだが地域の大事な神事 配慮と尊重を大切に】

 日本各地には、さまざまな祭りが存在する。博多祇園山笠や京都の祇園祭、青森のねぶた祭といった有名な祭りともなると、報道関係者のみならず、写真愛好家が全国から集まる。

「お祭りには多くの人が集まり、参加者自身も撮影される可能性を予測できます。ですから撮影自体は問題ありません」

 判断が難しいのは、参加者の一人をクローズアップで撮る場合だ。汗をかきながら必死の形相をさらけ出している姿はフォトジェニックで、思わず撮影したくなるだろう。

「本人が祭りの写真を撮られることもあると予測していたとしても、自分だけがクローズアップされることは想定していないはず。こうした写真を発表したいのであれば、本人の承諾が必要です。もし、これが1人ではなく10人くらいの集合写真であれば祭りの雰囲気を伝える写真として個人の許諾がなくても大丈夫でしょう」

 忘れてはならないのは、祭りはショーやイベントではなく、その土地の歴史や文化と密接に関係した神事であるということ。法的に問題はなくても、地域コミュニティーや参加者の気持ちに十分配慮し、〈御神体は神聖なものなので撮影禁止〉といったルールは尊重しなくてはならない。

 また、最近では児童ポルノ禁止法との兼ね合いで子ども神輿の撮影が禁止になるなど、時代の価値観によって撮影ルールも刻一刻と変化している。

「今までOKだったので、今年も大丈夫」と決めつけず、事前に主催者に確認するなどの配慮が必要だろう。

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