何度かそういう声はいただきましたね。それと、真由子は絶対につらいって言わなかったんです。看護師さんが一度「しんどいとかつらいとかなんで言わないの」って聞いたことがあったんです。すると、「私がつらいって言うと、それを聞いたお母さんがもっとつらいでしょ」って…。
――hideさんも気遣いの人ですけど、真由子さんも気遣いの人ですね。
そこがきっと、波長が合ったんでしょうね。
――まだ10代で、自分も大変なのに。
移植して1年後くらいに、危篤状態になったんです。そのとき隣にいた男の子も状態が悪くて、真由子とその子の「どっちがいつどうなるか」という状況でした。そんなとき、男の子が9歳の誕生日を迎えることを聞いた真由子が「私のお財布から、1本ずつ数えられるお花を10本買って渡して」って頼んだんです。「9歳なんだよ」って伝えたら「9歳まで頑張って生きたから、10歳まで1日でも長く近づいてほしいの」って言われたんです。病気で闘っている子にしか分からない1日の重みがあったんです。
それでね、hideさんも希望を持たせてくれるとき、すごく先のことを言わないんです。「また明後日電話するからね」って言われると、明後日まで頑張ろうと思えるじゃないですか。「元気になったらこうしよう」じゃない。漠然と大きなことを言うのではなく、一つずつはクリアできることを言ってくれる。そういう励まし方をする人でした。そういうhideさんの考え方を見ていたのかなと。
――二人とも本当にすごいです。hideさんも骨髄ドナー登録されたんですよね。
そうですね。当時、会見なんかもありましたが、hideさんはあんなに大々的にやるつもりじゃなかったんです。「hideがドナー登録をするって言っているんですけど、どんな風にやればいいんですか」と事務所の方に聞かれたので色々と話をしていたんです。たまたまそれを知った方がセッティングしてしまって、後でhideさんは「そういうつもりじゃなかった、みんなと同じようにするつもりだった」って怒ったんです。でも、そのときのスタッフさんや取材に来ていた方たちが8人もドナー登録をしてくださったんですよ。
――真由子さんはhideさんのドナー登録を聞いてどう思われたんですか。
喜ぶと思って伝えたんです。そうしたら、涙をこぼすんですよ。実はあの子は移植を受けている身なので、一生ドナー登録ができないんです。だから「hideちゃんと一緒のドナーカードを持てない」って。
――ご本人しか持てない感情ですね。
どれだけ頑張っても自分にカードは持てないって。ハッとさせられました。