2時間くらいかけてきてくれました。無菌室の入り口までhideさんを見送りに行ったら、hideさんのご両親まで来てくださっていて。思わず泣きついてしまいました。

――hideさんと真由子さんだけの関係じゃなくて、家族同士でのお付き合いになっていたんですね。

 はい、今だに交流はあります。

――お店の看板メニュー「約束のチーズケーキ」はどんな由来が?

 親の気持ちとか真由子の容態とかを書くノートがあって、その1ページ目にhideさんがメッセージを書いてくれたんです。チーズケーキが好きというのをどこかで知ったみたいで「チーズになるくらいすごいチーズケーキを食べような」ってメッセージを残してくれたんです。でも、真由子の身体がチーズケーキを食べられるようになる前にhideさんが亡くなってしまったので、2人で食べられなかったんです。店を始めるときは「好きだから」とチーズケーキを出していたんです。その後、真由子が亡くなったときに「やっとhideちゃんとチーズケーキ食べられるね」って棺にチーズケーキをどっさり入れたんです。その話を聞いた方が「その物語をちゃんと名前にしましょうよ」って言ってくださって、「約束のチーズケーキ」というのが浮かんだんです。

唯一、hideさんのカップとソーサーで飲めるのは「真由子ブレンド」。約束のチーズケーキと相性はバッチリ(撮影/福井しほ)

――素敵なエピソードですね。

 マフラーを巻いてくださったことと、危篤のときに駆けつけてくださったこと……。他にもいっぱいあります。hideさんと最後にお会いしたのがX JAPANのラストライブの後、事務所の打ち上げパーティーに招待してもらったんです。そのとき、移植して間もなかったので生ものは食べられませんでした。hideさんは「真由子は火の通ったものしか食べられないよね」って火の通った料理をとって「はい、これ真由子の」って渡してくれて。その後、私と旦那と上の娘には「なんでもオッケーだよね」って料理をとってくれたんです。私たちが遠慮してあまり食べられないだろうという気遣いからだと思います。人を喜ばせるということが好きみたいで、全部自分でしてくれる。帰りも私たちが先に帰るんですけど、車まで見送りに来てくださったり。

 ファンの人たちがお店に来てくれたときはこういう話をたくさん話すんです。「あなたたちの好きなhideちゃんはこんなにも素晴らしい人なんだよ」って伝えたい。

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